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【太陽の昇る国へ】五輪便乗の増税でなく成長目指せ

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【太陽の昇る国へ】五輪便乗の増税でなく成長目指せ

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 □幸福実現党党首・釈量子

 --先日の国際オリンピック委員会(IOC)総会で、2020年夏季五輪の東京開催が決定しました

 久々の明るい話題ですね。オールジャパンで東京招致に取り組んだ成果であり、これまでご尽力された皆様に心より敬意を表しますとともに、開催決定を日本全国の皆様とともに喜びたいと思います。

 東京での五輪開催は、東日本大震災からの復興を果たした日本の姿を国際社会に示すと同時に、低迷する日本経済が復活を遂げる好機です。1964年の東京五輪開催の際は、首都高速道路や幹線道路、地下鉄網や東海道新幹線など、高度成長の基盤となるインフラ整備が進められ、経済成長を牽引(けんいん)しました。このたびの2020年の東京開催を、日本経済が「第二の高度成長」を遂げる起爆剤とすべきだと思います。

 --具体的には

 私たち幸福実現党は、五輪開催に合わせ、リニア新幹線の20年の早期開通を提言しています。JR東海が全額自己負担を表明しており、現行では東京-名古屋間の開業が27年、東京-大阪間は45年とされていますが、国が積極的に支援し、早期開通を実現すべきでしょう。併せて、東京の国際都市としての機能を高める施策が急がれます。

 東京開催決定は、経済効果から消費税増税の後押しになると見る向きもありますが、消費税増税が景気後退を招くことは明らかで、増税に踏み切るべきではありません。8月末に開催された、消費税増税の影響を検討する政府の集中点検会合では、意見の大半が増税容認でした。メンバーの人選は政府によるもので、増税反対の論陣を張ってきた有識者が選定されておらず、「増税ありき」の予定調和的な会合ではないかという見方もできますね。

 --安倍晋三首相は消費税増税について10月上旬には結論を出す予定です

 最近の世論調査では、消費税増税の予定通り実施の支持は約2割にすぎません。国民間に慎重意見も根強いことを重く受け止めるべきです。

 アベノミクスにより、確かに日本経済に明るい兆しは見えているものの、雇用の本格的改善や賃金の上昇などはしばらく時間がかかるとみられます。こうしたなか、消費税の増税を行えば、日本経済の復活は遠のくばかりです。

 民間シンクタンクの試算では、年収500万円の4人家族(片働き)の場合、社会保険料の引き上げや住民税の年少扶養控除の廃止なども合せると、16年の家計負担は、11年に比べ、実に年間30万円以上も増加すると指摘されています。消費税増税は私たちの暮らしに大きな打撃を与え、景気は冷え込む一方でしょう。安倍政権は97年の消費税増税が今日まで続くデフレの要因となった事実を忘れてはなりません。

 --政府は97年以降の景気悪化はアジア通貨危機の影響などとしています

 しかし、通貨危機が収束しても、日本だけがデフレであえいでいることを思えば、増税の影響は否定できないはずです。

 また、増税による景気悪化は避けられないことから、政府・与党内からは増税のダメージを小さくすべく、補正予算を編成するなどといった考えも出ていますが、本末転倒も甚だしいといえます。

 日本経済に必要なのは消費税増税ではありません。日本の未来が見えるような実効ある成長戦略です。今はアベノミクスを受けて株価が好調ですが、経済を持続的に成長させるに足る成長戦略は示されていません。五輪の招致決定で東京に世界が注目するなか、東京の魅力と競争力を高め、海外からの投資呼び込みにもつながるような政策、例えば法人税の大幅減税などの打ち出しが必要です。

 現在、わが党として、増税の中止を強く求め、街頭演説や署名活動など、「ストップ!消費増税」キャンペーンを実施していますが(特設サイトhttp://special.hr-party.jp/stop-tax-hike/)、これにとどまらず、五輪の東京開催を機に、日本を世界のリーダー国家へと新生させ、夢の未来を開くための活動を力強く展開してまいりたいと思います。

                   ◇

【プロフィル】釈量子

 しゃく・りょうこ 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒業。大手家庭紙メーカー勤務を経て、94年、宗教法人幸福の科学に入局。常務理事などを歴任。幸福実現党に入党後、女性局長などを経て、2013年7月より現職。

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