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海外情勢
カンボジア 国際競争力アップ WEFリポート
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■「労働市場の効率性」突出27位
世界中から政財界の要人らが集まる「ダボス会議」の主催などで知られる世界経済フォーラム(WEF、本部・ジュネーブ)は「国際競争力リポート2013-2014」を4日に発表した。同リポートは、世界経済フォーラムが導入した12項目のデータに基づく国際競争力指数(GCI)で世界148カ国・地域を比較して順位付け、毎年発表している。
◆教育面に課題
今年のリポートによると、カンボジアは総合で88位。12年の85位からは下がったが、10年は109位、11年は97位で、このところ上昇傾向にある。競争力を判断する12項目の各順位を見ると、突出して高いのは労働市場の効率性で27位となっている。効率性が高く評価されたポイントは、雇用・解雇が比較的スムーズに行われていること、労働力における女性の割合が比較的高いこと、生産性が良いことなどだ。
逆に、項目別で順位が最も低かったのは高等教育・職業訓練(116位)。約4割とされる中学校への就学率の低さが問題視されたほか、学校運営そのものの質の低さも評価が低かった。このほか、インフラ(101位)、健康・初等教育(99位)、テクノロジーの応用力(97位)なども評価が低かった。
また、カンボジアでのビジネス活動で障壁となるのは、汚職、効率の悪い官僚制度、教育を受けた労働者の不足、インフラの不足、一貫性のない政策などとなっている。
今回のリポートでは、これまで調査対象ではなかったミャンマーとラオスが加わり、東南アジア諸国連合(ASEAN)の10カ国が初めて出そろったことから、ASEANの地域力についても詳しく分析されている。
◆経済統合に希望
ASEAN諸国は世界2位のシンガポールから、139位のミャンマーまで大きな幅があるものの、全体としては順調に競争力が伸びており、15年のASEAN経済統合に向け「希望の持てる傾向を維持している」という。特に、ASEANで人口が多いインドネシアが、前回の50位から今回は38位に上昇した。また、マレーシアは24位に付け、アジアの開発途上国の中では競争力が最も高く評価されている。
さらに06年から今年までの競争力ランキングの推移をみるとASEAN諸国の上昇傾向は顕著で、カンボジアはこの7年間で23ランクも順位を上げており、インドネシアとフィリピンも19ランク、最上位のシンガポールが6ランク、それぞれ上昇している。
対照的に、南アジア地域協力連合(SAARC)は、19ランク上げたスリランカを除けば、15ランク下げたインド、28ランク下げたパキスタンをはじめ、競争力の低下が著しく、ASEANの好調ぶりが際立つ。
このほか、今回のリポートは課題となっている域内格差について、ASEAN域内には上位国が「手本」となって下位国を牽引(けんいん)する傾向があると指摘している。例えばシンガポールは汚職が少なく、行政の効率が良いと評価されているが、マレーシアやフィリピンでは、行政改革や汚職撲滅が国際競争力を高めるとの認識のもと、具体的な取り組みが始まったとしている。(月刊邦字誌「プノン」編集長 木村文)