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新興国へ技術供与し温暖化防止 「2国間クレジット」8カ国と合意

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新興国へ技術供与し温暖化防止 「2国間クレジット」8カ国と合意

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新日鉄住金グループとインド・タタ製鉄などが共同で設置した「コークス乾式消火設備」=インド・ジャルカンド州(新日鉄住金提供)  日本が誇る環境技術を新興国や途上国に供与し、地球温暖化につながる温室効果ガスの排出を削減する取り組みが進んでいる。普及の切り札として期待されているのが「2国間クレジット制度」だ。

 日本が供与した環境技術に基づく新興・途上国の温室効果ガス削減量を日本の削減分とみなすもので、今年に入りモンゴルなど8カ国と導入することで合意した。経済成長を続ける新興国では、温室効果ガスの排出量増大が懸念されており、日本の環境技術で温暖化防止に貢献する考えだ。

 政府は8月末にインドネシアと2国間クレジットの導入について合意、2国間文書に署名した。導入で合意に達したのはモンゴル、バングラデシュ、エチオピア、ケニア、モルディブ、ベトナム、ラオスに続く8カ国目で、今後は制度を適用する事業の選定などを進める。

 2国間クレジットは日本が独自に提唱する制度だ。温室効果ガスの排出枠確保や日本の優れた環境技術・製品を世界に普及させるという経済的な側面に加え、温暖化防止に一役買って国際貢献につなげる狙いがある。

 環境省や外務省とともに制度の普及を進める経済産業省の担当者は「具体例を作って制度の認知度を上げ、日本の環境技術を新興・途上国に広める後押しをしたい」と強調する。

 企業側も同制度の本格的な導入をにらんで動く。新日鉄住金など鉄鋼各社は2011年度から、インドで同制度の実現可能性を共同調査している。そこで注目される環境技術の一つが「コークス乾式消火設備(CDQ)」だ。

 鉄鉱石から鉄を取り出すには石炭を蒸し焼きにしてできるコークスが不可欠。CDQはコークスを冷却するのに、水ではなく窒素ガスを使う。従来技術では大量の水を消費するうえ、水蒸気や煤塵、硫黄酸化物などが発生し、周辺環境への負荷が大きかった。大気汚染を防げるだけでなく、冷却過程で出る排熱で水を沸騰させ、蒸気タービンを回せば発電も可能だ。

 新日鉄住金グループは今年4月、インドの鉄鋼メーカー、ブーシャン・スチールからCDQを2基連続で受注したと発表した。これを含め、インドではCDQを8基受注、引き合いはさらに強まっているという。

 このほかにも、高効率の石炭火力発電やバイオマス発電、空調の省エネ、送電網の高効率化など新興・途上国に導入が見込める環境技術は少なくない。

 日本鉄鋼連盟環境・エネルギー企画委員会の丸川裕之委員長(新日鉄住金環境部長)は「新興国では日本の環境技術への関心の高さを感じることが多い。2国間クレジット制度を通じ、さらに日本の技術の導入が広がれば地球環境にとってもプラスだ」と期待している。(三塚聖平)

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