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「税制改正大綱」原案明らかに 減税での賃上げ 主要企業検証
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政府が来年4月に予定通り消費税率を8%へ引き上げた後の経済対策として打ち出す「税制改正大綱」の原案が30日明らかになった。法人税に上乗せ課税されている「復興特別法人税」については1年前倒しで「廃止を検討する」と明記。さらに、主要企業を対象に減税が賃上げに結びついたかを検証、公表も行う。安倍晋三首相は1日夕刻に記者会見し、賃上げ企業に対する減税策のほか、企業向けの3000億円規模の投資減税などを盛り込んだ総額5兆円超の経済対策を、消費税率引き上げと同時に表明する。
自民、公明両党は30日夜、与党税制協議会を開催。焦点である復興特別法人税の前倒し廃止の表現をめぐり詰めの協議を行った。
政府が同日朝、与党側に示した復興特別法人税の前倒し廃止に関する取りまとめ案では、同税の廃止理由について「企業が継続的な賃上げに向けて第一歩を踏み出すため」と指摘。経済産業省が減税の恩恵を受けた企業の賃金動向を調査、結果を公表する方針も盛り込んだ。
同税は東日本大震災の被災地復興のため2014年度までの3年間、法人税に上乗せされており前倒しで廃止されれば法人税の実効税率は2%超下がる。前倒しの廃止で9000億円の税収減になるが、政権の経済政策「アベノミクス」に伴う税収増などで補う方針だ。
ただ、被災地への配慮から公明党が同税の廃止を“決め打ち”する表現に対して慎重な意見もあり、年末にまとまる税収見通しを見極めて、最終的な結論を出す案も浮上している。
一方、税制改正大綱案では、従業員の給与総額を増やした企業に対して税負担を軽くする制度を拡充。12年度に比べ給与の総額を2%以上増やした企業に対し増加分の10%の税金を差し引く減税措置を17年度まで2年間延長して実施する。消費税増税に伴う景気腰折れを防ぐとともにデフレ脱却を進めるには、増税の影響を緩和する企業の賃上げ促進税制が欠かせないと判断した。
大綱案では企業の設備投資を引き出す投資減税策も明記。生産性が年1%以上向上する設備に対する投資を行った企業に対して取得額の最低3%を「税額控除」するか、減価償却費を初年度に一括経費計上して税負担を軽くする「即時償却」を選べるようにする。研究開発費を増やした企業への現行の減税措置は16年度末まで3年延ばす。
【復興特別法人税】
▽2013年度末に1年前倒しで廃止することを検討
▽設備投資拡大から賃金上昇、消費拡大の好循環につなげる
▽廃止分の不足は13年度補正予算で穴埋めする方向
▽復興特別所得税は維持する
【賃上げ】
▽経済産業省などで主要企業の賃上げ動向を調査
▽雇用者所得を増やすための税制を拡充。13、14年度中に給与総額2%以上(12年度比)引き上げ企業に減税措置。15年度は3%以上(同)の企業が対象
【投資関連税制】
▽生産性の高い新規設備導入で16年3月末まで費用の全額償却か最低3%の税額控除
▽研究開発促進のため、試験研究費の増加分の最大3割を税額控除