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社会保障立て直し効果、早くも疑問 「消費税10%でも7年で食い潰す」

ニュースカテゴリ:政策・市況の国内

社会保障立て直し効果、早くも疑問 「消費税10%でも7年で食い潰す」

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 消費税率引き上げは決まったが、社会保障制度を立て直し、大赤字に苦しむ国の財政を再建するという本来の目的を果たせるか、早くも疑問視されている。新たに5兆円規模の大規模な経済対策が追加され、昨年の3党合意時点とは大きくシナリオが変わったためだ。

 消費税率引き上げは、本来、社会保障の安定財源確保が目的だ。年金、医療、介護などへの給付費は2012年度に110兆円に達したが、財源となる社会保険料などは60兆円程度。差額のうち40兆円を国税、地方税、国債発行(借金)でまかなっている。国の税収が40兆円台という中で大きな負担である上、社会保障関係費は今後も毎年1兆円規模で膨らみ続ける。

 大和総研の市川正樹主席研究員は「負担と財源の差が毎年約1兆8000億円広がってきたことを考えると、消費税率が10%に引き上がったとしても7年程度で食いつぶす」と指摘する。

 しかし、現状では社会保障給付について、具体的な削減案がない状況で、医療費など給付の抜本的な改革が急務だ。

 財政再建の道筋も厳しい。日本の借金は先進国で最悪の状況で、1000兆円を超えた。8月に閣議了承した中期財政計画では、税収で政策経費をまかなえるかを示す国と地方の基礎的財政収支について、15年度に名目国内総生産(GDP)に対する赤字比率を10年度比で半減させ、20年度に黒字化させるとした。同時に、国だけでも14年度、15年度にそれぞれ4兆円ずつ赤字を減らす方針だ。

 この状況で景気の腰折れを防ぐためとはいえ、5兆円規模の経済対策をとることは、財政再建を遅らせる懸念がある。

 また、対策の財源も不明確だ。現状で確定している財源は12年度会計の使い残しである剰余金の合計2兆8000億円と、13年度の国債費、予備費などで追加される見通しの計約1兆円だけで、合計3兆数千億円にとどまる。頼みは景気回復による税収の上振れだ。

 企業の今年度の業績見通しが集約される11月以降にならないと税収見通しは立たない中で、5兆円の経済対策を打ち出すのは「見切り発車」(外資系エコノミスト)という声もある。

 麻生太郎財務相も「額が足りないといって消費税増税する一方で国債発行するのは筋としてどうか」と懸念を示す。財源の裏付けがないままでは国債発行が避けられず、財政再建目標が達成できない可能性もある。

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