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海外情勢
世界恐慌、各国封じ込めに躍起 G20、米財政不安に関心集中
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ワシントンで開かれたG20で関心が集中したのは、世界を揺るがす米国の財政不安だ。G20は速やかな問題解決を米側に要請。各国の相次ぐ懸念表明に米議会ではデフォルト(債務不履行)の危機を回避する動きも出た。「踊り場」を迎えた世界景気の底割れにつながるリスクの封じ込めに躍起だ。
「米国の危機は世界の危機」「デフォルトに陥れば世界経済は深刻なダメージを受ける」
国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事、カナダのフレアティ財務相、フランス中央銀行のノワイエ総裁ら、G20に参集した各国・国際機関の要人は、異口同音に米国に対する強い警告を放った。
中でも、米国債を大量保有する日本や中国にとって、万一にもデフォルトすれば深刻な影響が出る。麻生太郎財務相は、米議会との調整を急ぐルー米財務長官との会談で「米国だけの問題ではない」と直接危機感を訴えた。麻生氏は「考えていることは皆ほぼ同じ。デフォルトになれば、米国債が紙(くず)になるのだから」と述べ、会議場に張り詰めた緊張感を表現した。
G20と並行して、ホワイトハウスでは債務上限の引き上げをめぐって、オバマ大統領と野党共和党の幹部が会談した。暗礁に乗り上げていた米財政協議だが、各国からの厳しい批判を踏まえ、暫定的な債務上限の引き上げ案の検討が始まっている。ロイター通信は、ロシアのシルアノフ財務相の発言として「ルー米財務長官がG20で『債務上限引き上げ問題は17日までに解決する』と述べた」と報じた。
中国など新興国の成長が鈍化し、世界経済が「踊り場」(ラガルド氏)を迎える中、緩やかな米景気の回復は市場に安心感を与えてきた。
米国発の世界恐慌を防ぐため「これ以上、問題を長引かせるべきでない」(日銀の黒田東彦総裁)と結束したG20が、瀬戸際で米国の目を覚ますか。欧州債務危機に続き、世界経済の安定を主導するG20の底力が試される。(柿内公輔)