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タイ、家計債務拡大を懸念 28兆円、消費者の返済負担増
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タイで家計債務が膨らみ、国の経済成長に悪影響を及ぼしかねないと懸念する声が上がっている。タイ中央銀行によると、今年3月時点で同国の家計債務の残高は8兆9700億バーツ(約28兆2560億円)に達し、国内総生産(GDP)比で77.5%にまで積み上がった。アジアでは韓国の91%、マレーシアの80%などに次ぐ高い水準だ。現地紙バンコク・ポストが報じた。
2008年にGDP比56%だったタイの家計債務は、11年の大洪水や12年の政府による自動車購入優遇政策の影響などもあり、12年まで年平均12.8%のペースで増加。消費を支えて内需拡大の要因となり、経済成長を牽引(けんいん)した。
しかし、膨れ上がった債務残高は消費者の返済負担増につながり、ここにきて景気の先行きに影を落としている。タイの家庭における債務返済比率(債務を抱える家庭の収入に対して返済が占める割合)は、11年の30%から現在は34%に達し、同国のファイナンシャル・プランナー協会が消費者に勧告している上限の36%に迫っている。
また、同比率は月収が1万バーツ以下の家庭に限れば62%に跳ね上がる。カナダの中央銀行が40%を返済に行き詰まる水準に設定していることもあり、専門家からはタイの家計債務残高がすでに危険域に達していると警告する声も上がりはじめた。
タイは今年1~6月期の個人消費の伸び率が前年同期比3.4%増にとどまり、4~6月期は1~3月期比で2%減を記録するなど、これまで堅調だった内需に陰りがみられはじめた。クレジット利用の拡大に伴って自動車など耐久消費財の販売は伸びているものの、食品や燃料など非耐久消費財の販売が伸び悩んでおり、債務の返済負担が消費者の財布のひもを締めているとみられる。
これ以上の家計債務の増大を抑えたいタイ中央銀行は利上げを目指している。しかし、景気回復を優先させ、消費活動の活性化のために利下げを求める政府との足並みがそろわず、今年6月以降は政策金利を2.5%に据え置いたままだ。
主要な輸出先である欧米の経済が低迷を続けるなか、外需が急激に回復する見込みは薄い。今後もタイ国内では消費拡大をとるか、あるいは家計債務抑制をとるかで白熱した政策論争が続きそうだ。(シンガポール支局)