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韓国ポスコのインド投資、国連が異議 製鉄所建設、地域住民に影響
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韓国企業によるインドでの大規模インフラ開発に国連が待ったをかけた。国連人権高等弁務官事務所の専門家委員会は、韓国鉄鋼大手ポスコがインド東部オリッサ州で進める製鉄所建設プロジェクトを中止するよう求めている。現地紙インディアン・エクスプレスなどが伝えた。
同委員会の報告書によると、製鉄所や発電所、鉄道、道路などの建設により、2万2000人の周辺住民が立ち退きを余儀なくされ、生計の糧としてきた土地を失い、貧困に陥るとしている。
鉄鉱石が豊富な東部オリッサ州は、採掘権の認可や安価な電気・水道代などの優遇措置を講じ、国内外からの投資を積極的に呼び込んできた。
ポスコは2005年より、当時、外国からの直接投資額としてはインド最大級の120億ドル(約1兆1820億円)規模となる年産能力1200万トンの製鉄所計画を進めてきた。
しかし、プロジェクト予定地となっている約16.2平方キロメートルの土地収用問題などが地域住民との間で難航。8年が経っても建設に至っていない。
一方、ポスコは報告書に対し、「予定地の9割は政府の土地で、強制立ち退きの事実はない」と反論している。
ポスコは今年8月、環境破壊を訴える地元住民側との摩擦などによりインド南部カルナタカ州での製鉄所建設計画を断念したばかり。今回の国連の提言により、経済成長を優先するばかりに、地域住民の既得権益がないがしろにされる姿が浮き彫りになり、今後の大規模開発に波紋が広がりそうだ。(ニューデリー支局)