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トヨタ、日立ともに賃上げ前向き 政労使会議2回目、春闘相場に影響
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政労使会議を終え、記者団の質問に答えるトヨタ自動車の豊田章男社長=17日午後、首相官邸 政府は17日、政府、経営者、労働組合の3者が、景気回復に向け、雇用や賃金などを協議する「政労使会議」を首相官邸で開いた。2回目となる今回はトヨタ自動車の豊田章男社長、日立製作所の川村隆会長が出席。豊田社長は「業績が上がった分、従業員に還元するのが当然」と会議後に記者団に語ったほか、川村会長も、給与水準全体を底上げする「ベースアップ(ベア)も選択肢の一つ」と述べ、ともに賃上げに前向きな姿勢を示した。
安倍晋三首相は会議で経済政策によって「デフレがこびりついていた空気を変えた」と実績を強調。その上で、「ここからが本番。経済界、労働界もできることを実行してもらいたい」と賃上げなどの協力を求めた。
政労使会議にトヨタ、日立のトップを招いたのは、安倍政権が来年の春闘での賃上げが、デフレ脱却に向けた「景気の好循環」実現の正念場と位置づけるからだ。
デフレ脱却と景気回復に向け、安倍政権は、企業収益拡大→雇用・賃金への波及→消費増大→企業収益拡大という「景気の好循環」を目指す。すでに、円安による輸出採算の改善などで、企業収益の拡大が見込まれている。
それでも経営サイドは、国内の需要拡大が望めないことや、国際的には海外企業との競争が強まっていることから、賃上げ、特にベアに対して根強い抵抗がある。業績回復は一時金(ボーナス)増額で応じるスタンスだ。ただ、来年4月の消費税率引き上げで物価が上昇し、所得が安定的に増えなければ、再び消費が低迷してデフレ脱却が遠のく懸念もあり、早急な賃上げの合意形成が必要だった。
今回、春闘相場の形成役となるトヨタ、日立から、ベアを含めた賃上げへの一定の理解を取り付けたことで、産業界では賃上げの動きが広がりそうだ。