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TPP、EUや中韓も積極交渉 年内妥結へ日本「前進」
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環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の年内妥結に向け、政府が国内外の調整を加速している。21日には東京都内で関係団体向けの説明会を開いたほか、米国と2国間の貿易問題を話し合う日米並行協議の第3回会合が米ワシントンで開幕。欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)や中国、韓国との自由貿易協定(FTA)交渉も大きく動き始めており、日本政府はTPPを軸に自由貿易のルール作りを有利に進めたい考えだ。
「年内合意に向け、かなり大きく前進した」。TPP政府対策本部の渋谷和久内閣審議官はこの日の関係団体向け説明会で、インドネシア・バリ島で今月8日に開かれたTPP首脳会合の成果を強調した。
説明会には農業や経済、消費者関連など約230団体が参加。自民党が聖域として関税死守を掲げてきた農産品重要5分野の見直しに着手したことから、出席者からは「公約は守られるのか」といった声が上がった。
一方、日米並行協議の第3回会合は23日まで3日間の日程で、自動車分野が焦点となる。米国側は、これまで日本の安全・環境基準などを「参入障壁」として緩和を要請。日本側は安全確保の必要性を強調して議論は平行線をたどっていた。今回も厳しい交渉が予想されるが、TPP交渉が目指す年内の妥結期限が近づき、日米の2国間協議も加速が迫られている。
TPP交渉は、参加12カ国が11月末までに作業部会や首席交渉官会合を開き、難航分野の着地点を模索。12月の閣僚会合で最終合意を得るシナリオを描く。閣僚会合は12月7~9日にシンガポールで開く方向で調整している。
TPP交渉が正念場を迎える中、新たな通商秩序の構築で後れをとりたくないEUや中国、韓国も日本との交渉に積極的になっている。21日にブリュッセルで始まった日EUのEPA第3回交渉会合では、最難関の関税撤廃・削減で双方が関税撤廃に応じる品目の提案を交わし、協議が本格化する見込みだ。
日本側はEUが自動車にかけている関税(10%)などの撤廃を求める方針。EU側は自動車部品関税(3~4.5%)の撤廃を認めて譲歩の姿勢を示しつつ、日本がチーズ(約30%)やワイン(15%または1リットル当たり125円)など加工食品にかけている関税の撤廃を要求する構えだ。
EU側はTPPと同程度の関税削減を求めているとされるが、日本政府は、TPP交渉の重要5分野でもある乳製品のチーズで関税撤廃に応じれば「TPP交渉でも譲歩を迫られる」(交渉筋)と警戒しており、激しい駆け引きが予想される。
また、日中韓3カ国は11月にも日本で開かれるFTA交渉の第3回会合に向け、22、23日に準備会合を開く。日本側は「TPP交渉の進展で、中国や韓国は危機感を募らせている」(経済産業省幹部)と分析。今後もTPP交渉の早期妥結に尽力し、通商ルール作りの主導権争いで中国、韓国を牽制(けんせい)する方針だ。
TPP
<現状>
11月に首席交渉官会合、12月に閣僚会合(シンガポールで調整)
<内容>
日米など12カ国が高水準の貿易・投資の自由化を目指し、21分野を議論
日EU EPA
<現状>
21~25日に第3回交渉会合(ブリュッセル)
<内容>
日本側は自動車、EU側は加工食品などの関税撤廃を求める
日中韓FTA
<現状>
22、23日に第3回交渉会合に向けた準備会合(ソウル)
<内容>
日本がサプライチェーン(部品供給網)強化に向け自動車や電子部品の関税削減を求めているほか、知的財産の保護も話し合う