SankeiBiz for mobile

相続税導入、政府と庶民で温度差 所得格差是正も財産損失を危惧

ニュースカテゴリ:政策・市況の海外情勢

相続税導入、政府と庶民で温度差 所得格差是正も財産損失を危惧

配信元:中国新聞

更新

 中国で相続税の導入に関する報道が物議をかもしている。9月、一部メディアに相続税導入の進展を示唆する記事が掲載されたためだ。

 政府は今のところ、導入の有無や導入時期などについて反応を示していないが、今年2月、国務院(内閣)が関係機関に配布した「所得分配制度改革の深化に関する若干の意見」で相続税導入の検討に言及していたことは事実で、相続税導入を訴える専門家も少なくない。

 ◆汚職撲滅にも有用

 国家行政学院経済学部の馮●彬(ひょうしょうひん)教授も「相続税は消費を刺激し、中国の消費水準の向上と経済成長を促す」と導入に肯定的だ。

 馮教授によると、相続税は不正蓄財の抑制にも一定の効果があるという。相続税導入に必要となる一連の周辺制度が整備されれば、財産の正当性、透明性が大幅に向上し、不正に取得した収入の隠匿が難しくなるためで、馮教授は「相続税の導入は法治の実現と汚職撲滅にも有用だ」と強調する。

 ただその一方で、一般庶民の中には相続税の導入に不安を覚える者も多い。

 中国大手ポータルサイト、捜狐と相続税の導入に関するオンライン調査を共同実施したところ、対象者の77%が相続税導入の弊害として「一般庶民、特に中産階級の財産が損なわれること」を挙げた。

 相続税の役割を尋ねる質問では、78%が「所得再分配の機能」と回答。それにより社会の不平等の是正を進め、所得格差による社会不安の解消を求めている。

 これに対し、中華遺嘱庫管理委員会の陳凱主任は「政府が導入に前向きなのは相続税が不平等や格差の是正を促すだけでなく、金融や保険といったサービス業の発展を促して民間資金の流れを消費や将来性のある分野にシフトさせる働きもあるためだ」とし、導入を危惧する必要はないとしている。

 ◆課税基準設定に注目

 一方、相続税導入で62%が注目するのが「課税基準の設定」だ。基準次第で、高額な不動産を所有している都市住民が、自身も損失を被る可能性があると考えたためだ。

 家族を亡くしたばかりの孤児や未亡人が、納税のため家を売らなければならなくなる可能性をもはらむ相続税。馮教授は「一般的に相続税の課税対象者が人口の3%未満に過ぎない海外を見習い、中国も相続税を“金持ち税”と位置づけ、課税対象は資産が極めて多い資産家のみとすべきだ」と指摘している。

 また馮教授は、贈与税についても「中国は他国同様、相続税納税者による課税逃れを防ぐため、相続税とほぼ同レベルの税率の贈与税を導入すべきである」と強調する。

 それでは相続税の導入はいつ実現すべきなのだろうか。調査対象者の70%は5年後と回答。残り30%は、一刻も早い格差是正のため、即刻導入すべきだとの見解を示した。

 実際には依然、導入に対する明確な姿勢を打ち出していない中国政府。しかし、馮教授が指摘する通り、相続税導入の政治的意義は明らかであり、導入の本格的な検討や、全体計画の立案を始める段階にあろう。(法制日報=中国新聞社)

●=にんべんに趙のつくり

ランキング