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上海市の人気学区、不動産値上がり 教育水準ばらつき影響

ニュースカテゴリ:政策・市況の海外情勢

上海市の人気学区、不動産値上がり 教育水準ばらつき影響

配信元:中国新聞

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 中国では、生まれた子供は金持ちになるといわれる60年に1度の「金猪年(猪年)」だった2007年、北京五輪開催の08年、上海万博開催の10年という出産ラッシュ年に生まれた子供たちがそろそろ小学校に入学する年齢となっている。このため、上海市の人気学区内に位置する不動産価格は過去最高の値上がりをみせているという。

 しかし、学区内の家を購入したからといって目当ての学校に入れる保証はなく、リスクは大きい。有識者らは「不動産価格の異常な値上がりを阻止するためには、教育資源の公平分配を実現することが不可欠だ」と口をそろえる。

 ◆上昇幅67%

 1989年に創設された同市静安区海防村にある9年一貫教育の上海静安区教育学院附属学校は、同区一の人気校となっている。ある不動産仲介業者は今年初め、23平方メートルほどの「亭子間」(2階建て住宅の中2階に位置する台所の上の小部屋)を240万元(約3883万2000円)で売りに出したが、その際、同学校の学区内であることをアピールしたところ、1週間もたたないうちに成約できたという。

 また、同エリアに位置する別の不動産仲介業者によると、3年前、同村の1平方メートル当たりの不動産単価は4.5万元前後だったというが、現在は6.8万~7.5万元で、その上昇幅は67%近くに上り、年間上昇幅も20%を超えているという。

 上海市内で最も値上がりが大きいのは、徐匯と静安の2区で1平方メートル当たりの単価が8万元に達したところも出始めた。

 さらに、「同市の人気校の多くは、当該戸籍地に3年以上住んでいることを入学条件としていることから、子供が2~3歳の時点で学区内不動産を購入する親も増えている」(上海中原地産の盧文曦アナリスト)ほか、投資目的の購入も少なくないという。

 ◆購入リスクは大

 こうした現状に対し、不動産アナリストの陸騎麟氏は「市内の教育水準のばらつきが、一部学区における入学者数の急増を招いている」と指摘する。その上で、こうした不均衡を正すため、学区調整も検討されていることから、「不動産購入には慎重になった方がいい」と提言。教育専門家の多くも、政府による学区制度の見直しや有名教師の転勤制度導入の可能性について言及し、不動産購入のリスクを訴えている。

 一方、ある調査結果では、約5割の保護者が「希望学区内の不動産購入を検討中」と答えたものの、6割以上が「入学後は自分たちで住むことは考えていない」と回答したことが分かっている。

 これについて、不動産関係者は「購入額と貸し出す際の賃貸収入を比較すれば、その差は歴然である」と話し、安易な不動産購入計画の危険性を指摘している。(法制日報=中国新聞社)

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