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海外情勢
【新興国に翔ける】中国医療機器メーカーの実力
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□スパイダー・イニシアティブ 代表・森辺一樹
今月3~6日に中国南部アモイで開催されていた中国国際医療機器博覧会(CMEF)に行ってきた。今年で70回目を迎えるCMEFは、毎年春と秋に年2回開催される中国最大規模の医療機器展示会だ。展示面積は10万平方メートル以上で、国内外から2500社程度の企業が出展し、毎年6万人程度の来場者を集める、日本ではまず存在しないほどの大規模な展示会だ。
私は過去10年近く、ほぼ毎年足を運び中国の医療機器メーカーの動向を調査している。その理由は、中国の医療機器市場にはとてつもなく大きなチャンスが存在するからだ。
英国調査会社ビジョンゲインによると、2022年、中国の医療機器市場規模は4兆5000億円程度になるという。現在、日本の市場規模が約2兆3800億円で、過去10年の成長率が平均で年2%ほどであることを考慮すれば、22年には中国の規模は日本を大きく上回っていそうだ。
日本の年間の出生数は100万人程度だが、中国では1500万人だ。それでも中国は、日本の次に少子高齢化に向かう国となる。
この巨大マーケットを抱える中国医療機器市場で、近年、中国メーカーの成長には目を見張るものがある。過去10年の医療機器市場を見てきただけに、彼らの技術革新のスピードには恐怖すら感じる。ハサミやメスなどの鋼製小物はもちろんのこと、人工呼吸器、麻酔器、内視鏡などの中型機器、そして、X線CT(コンピューター断層撮影装置)やMRI(磁気共鳴画像装置)など大型診断機器まで作ってしまうのだ。
技術や品質的にはまだまだ欧米や日本メーカーとは比較にならない。中国で使われている医療機器の7割は依然輸入品だ。だが、この構図はそう遠くない将来、大きく変わるだろう。
15年前、日本の多くの産業セクターで、「安かろう、悪かろう」とまったく相手にしなかった中国製を、今、そう呼ぶ人は少ない。今では、「まだまだ技術力には差がある」と明らかに警戒心のあるトーンに変わった。
確かに、“差”はあるし、医療機器分野での差は、家電業界における差以上の大きな差だろう。
しかし、日本とはまるで異なる医療制度のもと、13億人という所得格差の激しい人たちの何割が高い医療機器を選択できるのだろうか。医療機器など絶対に最先端が良いに決まっている。しかし、それを選択できる人たちはごくわずかだ。
技術も重要、しかし技術だけで勝負が決まらないのも今後の中国医療機器市場である。今、日本企業の戦略が試されている。(隔週掲載)