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海外情勢
【飛び立つミャンマー】バブルに踊るヤンゴン
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■外国企業急増 オフィス建設急ピッチ
ミャンマー最大都市のヤンゴンでは、世界中の料理が楽しめる。アジア最後のフロンティアといわれ、世界中からビジネスマンや旅行客が訪れるだけに、ホテルに限らず、各国料理を出すレストランがずらり。インド、中国、タイの高級店はもちろん、イタリア、フランス、日本料理店も増えている。ただ、おいしいと評判の店の多くは食材を国外から取り寄せているため、値段は軒並み高い。
◆日本並みの値段
友人の地元企業の社長がひいきにするCホテルのイタリアンも、材料はイタリア人のシェフがすべて本国から取り寄せている。当然、料理の味は良いが、値段も日本の一流イタリアンレストラン並みだ。だから、彼はミャンマーを訪れる欧米企業の幹部の接待にも、同レストランをよく使う。
日本料理店も例外ではない。タイのバンコクだけでなく、日本からも定期的に買い付けるなど、食材確保には苦労している。それでも個室を備えた高級料理店などでは、地元ビジネスマンや企業経営者が引きも切らない。
超高級レストランだけではない。4人で4000~5000円程度の外国レストランは、いつも地元の家族連れでにぎわっている。
ヤンゴンなどの都市部では、もともとサイドビジネスで稼いでいる人も多い。とくに公務員などは給料が安いため、勤務時間が終わった後、タクシー運転手などをして稼ぐ。以前は食べるためだったが、民主化後は、訪れる外国人客が増えたことから、こうした外国人相手のサービス業に関わる人は大いに潤っている。
知り合いの旅行会社社長などは、今年度上期(4~9月)だけで昨年度分の売り上げを稼いだという。ミャンマーでは上期は雨期にあたるため、下期に比べると売り上げは少ないのが普通だというが、その上期で前年度分を売り上げたのだから「この調子なら、今年度の売り上げは前年度の3倍から4倍だ」と鼻息は荒い。
10月の売り上げが1億チャット(約1000万円)を超えたとかで、「最近はいったい手元にいくら金があるのか、わからない。数える暇もないほど忙しい」と言うので、嫌みの一つも言いたくなったほどだ。
◆急騰する不動産
有卦(うけ)に入(い)っているのは、彼に限らない。ヤンゴンでは、急増する外国企業や外国人訪問客が必要とするオフィスビルやホテル、住居を早急に確保する必要に迫られている。それには、新しいビルを建てるだけでは追いつかないことから古いコンドミニアムやオフィスビルを改装し、オフィスや外国人向けの住居にする動きが活発化している。
友人が住むコンドミニアムも築40年近いが、ヤンゴン中心部で約100平方メートルの広さと、屋上に駐車場が付いていることもあって、不動産業者から約1500万円で売らないかと、持ちかけられたという。
そろそろ、現役引退を考えていただけに心が動いたものの、周囲の不動産の値段がそれ以上に高騰しており、手元に現金を残すどころか、よほど郊外でないと新しく住む家さえ買えないことがわかり、売るのを断念したという。
「まさにバブルだね」。日本でもかつて不動産バブルがあったことを話すと、友人はこう言って、少し残念そうな表情を見せた。
12月には東南アジア競技大会(SEA Games)が開かれ、来年には東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国として、一連の国際会議が開かれるミャンマーには今後もさらに多くの外国人訪問客があふれるだろう。ミャンマーの人々だけでなく、われわれもまた、バブルに踊っているのかもしれない。(ヤンゴン 宮野弘之)