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米「ソーシャル金融」拡大 個人の貸借仲介、低利率が魅力

ニュースカテゴリ:政策・市況の海外情勢

米「ソーシャル金融」拡大 個人の貸借仲介、低利率が魅力

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 米国で交流サイト(SNS)の仕組みを利用し個人の貸し借りを仲介する「ソーシャル・レンディング」と呼ばれる金融サービスが広がっている。借り手にとっては低利率が魅力で、既存の金融機関を脅かすまでに急成長する業者も現れた。ネット社会の新潮流として注目されているが、信用リスクも指摘されている。

 上場間近の業者も

 「自宅のパソコンで手軽に申し込めるのがいい」

 バージニア州のプログラマーのマルコ・ゴンザレスさん(仮名、40)が利用しているのは、最大手のレンディング・クラブというサイト。先日はリフォーム資金を工面するため2000ドル(約20万3000円)借りた。登録は個人情報など必要事項を入力するだけで、貸し手と条件が合えば数日以内にも入金され、毎月一定額を返済する。

 利率は借り手の信用に応じ、おおむね6~13%。18%前後のクレジットカードより割安で、そもそも、「カード会社の金利は高過ぎる」と同社のルノー・ラプランチ最高経営責任者(CEO)が不満を抱いたことが創業のきっかけだ。

 今年の予想売上高は前年の2.8倍の1億ドルで、来年にも上場が噂される。米IT大手のグーグルが出資し、役員にはローレンス・サマーズ元財務長官や米金融大手の元トップらの大物が名を連ねる。

 リスクを懸念

 ほかにもプロスパー・マーケットプレイスなどの有力サイトがあり、学生向けのコモンボンドも成長株だ。貸し手も銀行に預けるより高金利で運用でき、米銀大手関係者は「侮れない」と警戒し、米誌フォーブスも「レンディング・クラブは銀行を打ち負かそうとしている」と指摘する。

 IT先進国の米国では、車や書籍など余った資産をネット上で交換したり貸し借りするシェア・エコノミーが拡大している。ゴンザレスさんも「今はネットでユーザーがあらゆるつながりを持てる。そうした仕組みに共感している」と話す。

 一方で、新たな金融形態だけに、利用者のリスクも懸念される。レンディング・クラブなど大手は銀行口座や信用機関の審査情報などを借り手に提出させ、貸し手が吟味できる体制をとっているが、それでも貸し倒れなどのリスクは残る。事業者も銀行免許などは不要で開業できるため、当局による監督が十分行き届かないとの声もある。

 日本でも貸金業者がオークション(入札)方式などで似たサービスを手がける例はあるが、まだ市場規模は小さいのが実態だ。(ワシントン 柿内公輔)

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