--経済産業省で家庭向け都市ガスの全面自由化などガス事業の制度見直しに向けた動きが進んでいる
「電力小売りの全面自由化を柱とする『電力システム改革』が先行して進むとともに、電力・ガス事業の垣根が外れる方向に向かっている。そうした中で、消費者が電力は自由に選べるのに、ガスは自由に選べないということはあり得ず、ガス事業でも電力と同様の改革を進めるのは当然の流れだ」
--経産省の有識者会合で東京、大阪、東邦の大手3社がガス小売りの全面自由化を受け入れる方針を示した
「東京、大阪の両社は液化天然ガス(LNG)を燃料とした火力発電所を保有しており、全面的に自由化されても電力会社に対抗できる力を持っている。ただ、東邦ガスはLNG火力発電所を保有しておらず、東京、大阪の両社とは事業環境が異なるため、別の扱いで検討する方がよいかもしれない」
--自由化で経産省はガス料金が下がるとしている
「自由化による最大のメリットは、消費者が電力会社とガス会社を自由に選べるようになることで、料金の引き下げ効果は期待しすぎない方がいい。ガス料金を下げるには、欧米と比べて割高で『アジアプレミアム』と呼ばれるLNG調達価格の引き下げが欠かせない。その鍵となるのは『シェールガス』の輸入だ。電力・ガス各社は2015~16年に集中的にLNGの長期契約の更改時期を迎えるが、17年以降に米国のシェールガスを輸入するとアピールすれば、価格交渉が有利に進む可能性がある」
--LNG価格引き下げに向け政府がとるべき対応は
「世界1、2位のLNG輸入国は日本と韓国で、両国を合わせた輸入量は世界全体の5割を超える。LNG調達で日韓が協力して短期取引の市場を作ることができれば、アジアプレミアムの解消に貢献できるだろう」
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【プロフィル】橘川武郎
きっかわ・たけお 東大経卒、東大大学院博士課程単位取得退学。経済学博士。1987年青山学院大経営学部助教授、93年東大社会科学研究所助教授、96年同教授。2007年4月から現職。和歌山県出身。