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【首相施政方針演説】 初めて「集団的自衛権」言及 立ちはだかる公明党 説得が政権の正念場
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衆院本会議で施政方針演説する安倍晋三首相=24日午後、国会・衆院本会議場(酒巻俊介撮影) 安倍晋三首相は施政方針演説で、ようやく集団的自衛権に言及した。第2次政権発足から1年余り。最優先課題の経済再生に道筋を付けた自信から、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈見直しに本格着手する余裕も生まれた。だが、見直しには公明党が立ちはだかる。長期政権に入れるか否かの正念場を迎える。
首相は演説で集団的自衛権について、4月にも「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」が提出する報告を踏まえ「対応を検討する」と述べた。行使容認と言及したわけでもない抑制的な表現だが、「集団的自衛権」に触れた意義は大きい。
首相は当初、昨年中に解釈見直しに踏み切る意向だった。だが、経済優先の方針に加え、見直しに反対する連立与党の公明党が連立政権離脱もちらつかせて難色を示した。
山口那津男代表は首相演説後、記者団に「政策的な意見の違いだけで離脱は考えられない。知恵を出し、合意形成に努力したい」と語ったが、見直し容認に転じたわけでもない。同党は「政権のブレーキ役」どころか、「与党最大の抵抗勢力」の様相になっている。
通常国会が閉会する6月22日は今年の折り返しと重なる。会期中に政府・与党として集団的自衛権の行使容認に向けて何もしなければ、さらに来年に先送りとなる可能性もある。
「今の時代はスピードが大切で、ぼやかした形では時間がかかる。歯切れ良く、やらなければならないことはきちんと言って、その代わり国民の理解を得て決めていく」
首相は政治の進め方について、産経新聞元日付で掲載した作詞家、秋元康氏との対談で、こう熱く語っていた。首相は閣議決定で解釈見直しを行う方針だが、公明党の反対を押し切る形だと政権は大いに揺らぐ。実現できないと、首相を支持してきた人たちの期待が落胆に変わりかねない。
演説では、沖縄への配慮も目立った。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾=ぎのわん=市)の名護市辺野古への移設を進める決意を強調した上で、「沖縄の方々の気持ちに寄り添いながら、『できることは全て行う』との姿勢で取り組む」と基地負担軽減への努力を誓った。同時に、沖縄を「21世紀のアジアの架け橋」「21世紀の成長モデル」と称賛し、平成33年度まで毎年3千億円台の予算確保を強調した。
19日の名護市長選は市長権限で移設阻止を公言する現職が再選した。移設には沖縄の理解を求める忍耐強い取り組みが必要になる。
首相は演説で「やれば、できる」と4回訴えた。政権1年目は経済再生や2020年東京五輪の招致実現などの成果を挙げたが、2年目はいよいよ歴代政権が果たせなかった課題と向き合う。(酒井充)