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二律背反、どう穴埋め? 経済財政諮問会議
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税率引き下げと税収増を両立させる-。二律背反のように思えるこの経済政策を実現するため、経済財政諮問会議の民間議員が着目しているのが欧州諸国の成功例だ。日本がその先例にならうためには、“穴埋め策”の検討が鍵を握る。
民間議員が20日の経済財政諮問会議に示した資料によれば、実効税率を引き下げた英国とドイツでは、同時に実施した政策減税見直しなどによる増税分が、税率引き下げによる税収減を上回り実質的には増税になっていたことが分かる。
日本の法人税収は平成25年度で8.7兆円と税収全体の2割程度を占める。日本の法人実効税率は東京都で平成26年度から35.64%になるが、財務省試算によれば税率を1%下げると約5千億円の税収減になる。
日本は年間の税収の20倍に及ぶ1千兆円以上の借金を抱えており、代替財源抜きに法人実効税率を引き下げるのは容易ではない。
所得税など他の税目の増税が難しい中、政府画税率を引き下げた場合の税収の「穴」を埋める最有力候補として着目しているのが、減税項目の見直しによる課税対象範囲の拡大だ。
現在、実施されている法人税に対する主な減税策には、特定業界を優遇する租税特別措置(減税規模は9千億円)のほか、企業が赤字になった場合に翌期以降の黒字から差し引ける「欠損金の繰り越し控除」(同2兆3千億円)などがある。
ただ、租税特別措置の中には、10社しか使っていない施策が5割弱もあり効果が疑問視される項目も多い。最大9年にわたって赤字を繰り越せる欠損金の繰越制度についても、麻生太郎財務相が18日の衆院予算委員会で「9年間(の期間)をやめるとか、いろんな課税ベースを広げる方法を考える必要がある」と述べ、改革に向けた意欲を示した。
こうした制度を見直せば、その分、法人税の課税範囲が増えて、実効税率の引き下げに伴う税収減を補える可能性があるため、政府税制調査会では3月から集中的に議論する方向だ。
ただ、租税特別措置などは税制改正の実権を握る自民党税調が各業界の要望に応えて実現した例が多く、調整難航は必至。
安倍政権は海外事例なども踏まえ法人実効税率引き下げに向けた姿をどう描くのか、本気度が試されている。(今井裕治)