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消費税増税前に高まる一円玉需要
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消費税率が8%へ引き上げられる4月を前に、政府は一般流通向けの一円玉の製造を約4年ぶりに再開した。税率8%の方が、現在の5%より釣り銭などで一円玉の出番が増えると見込まれるためだ。民間企業も「一円玉対策」へと乗り出しており、販促を活発化させる業界も出ている。
(佐久間修志)
「釣り銭用の一円玉のストックが必要だ」。100円ショップを展開するキャンドゥの担当者は、“備え”の必要性を強調する。
現在、同社の100円ショップで販売される商品の税込み価格は、原則105円。一円玉は「来店客から受け取ることはあっても、こちらから手渡すことはない」(広報)存在だ。だが4月以降は、最低限の枚数を用意するという。
日銀によると、一円玉の流通量は現在、389億枚と硬貨で最多だ。だが最近は小銭のいらない電子マネー決済の普及もあり、平成22年の早い段階で、記念販売の貨幣セット向けを除き、製造が止まっていた。消費税率引き上げで再びスポットライトが当たる形だ。
財務省には、手痛い教訓がある。元年4月に消費税が税率3%で導入された際、一円玉の需要が急増。小売りの現場などで、深刻な一円玉不足が生じた。財務省は、かつての二の舞いだけは防ぐとの構えで、一円玉を1~3月にまず約2600万枚、新年度には1億6000万枚追加発行する予定だ。
一方、国の肝煎りによる一円玉の流通増を商機として活用しようとの動きも出てきた。高島屋新宿店(東京都渋谷区)は、財布売り場で、がま口タイプなど小銭が多く入る商品を集めたコーナーを設置予定。松屋銀座本店(東京都中央区)も、紳士向け小銭入れの商品数を増やした。増税前の駆け込み購入も見込めるため、今月から店頭での販売点数を増やしている。
「財布の小銭を増やしたくない」という消費者心理を背景に、攻勢をかけるのは電子マネーの運営企業。JR東日本は4月以降、券売機で購入する東京近郊のきっぷ運賃を10円単位で値上げする一方、「Suica(スイカ)」などのIC乗車券は、1円単位の値上げで利用促進を図る。
ディスカウント大手のドン・キホーテは、全国のドン・キホーテや長崎屋などで共通利用できる電子マネー「majica(マジカ)」を18日から導入し、初年度で100万人の会員獲得を目指す。
野村総合研究所の冨田勝己上級コンサルタントは、「電子マネーのマーケティング活用や囲い込み効果を生かすには、利用件数の拡大が必要。消費増税は『小銭いらず』のプラスアルファを強調しやすい時期で、普及が一段と進む可能性がある」と話している。