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海外情勢
【海外進出支援の現場から】ミャンマー市場参入 サービス力が鍵
更新
小原綾子・みずほ銀行直投支援部調査役 □小原綾子・みずほ銀行直投支援部調査役
【問題】
米国の経済制裁が2012年7月に緩和され、外国からの投資が増加を続けるミャンマー。低廉な賃金や親日国のイメージなどから東南アジア諸国連合(ASEAN)の「ラストフロンティア」として急速に注目を集めている。製造業にとどまらず、約6000万人(推定)の人口に着目した小売りなどへの関心も高くなっている。だが、小売業は規制業種として現在も展開が難しく、現地資本をフランチャイジーとした形態での現地参入など、慎重な事前調査が必要となる。
【対策】
ミャンマー経済の中心地ヤンゴンは13年だけでも劇的な変化をみせた。ヤンゴン市内には新車に近い状態の日本の中古車が多く走るようになり、商業施設の開発もあちこちで見られるようになった。
サービス業はヤンゴン市内を中心にミャンマー人を対象とした韓国系の外食店舗や、ミャンマー資本の大型スーパー、ショッピングモールの展開も進み、市内での存在感を高めている。特にショッピングモール「ジャンクションスクエア」に隣接する形で1号店を13年夏にオープンさせたロッテリアは、ファストフードで大型の外国ブランドとして注目された。
ミャンマーの1人当たり国内総生産(GDP)が推定で約870ドル(約8万8000円)に対し、同1700ドルはあるといわれるヤンゴンは消費意欲が旺盛だ。最近では富裕層をターゲットに外車のショールームも次々にオープンし、ヤンゴンは消費地として国内でも別格であることが実感できる。まずはヤンゴンでビジネスを立ち上げられないかと多くの日系企業の視察が続く。
ロッテリアのハンバーガーとポテト、ドリンクの通常のセット料金は邦貨換算で400円前後と現地では高額である。だが、多くのミャンマー人の若者がレジ前に行列をして買い、ロッテリアのハンバーガーをほおばっている姿を見ると、外国の文化や生活習慣との接点を長年断たれていた若者たちの「購買欲」が急激に高まっているように思える。
ロッテリアはヤンゴン市内で急速に店舗展開を進めているが、韓国ロッテからの投資ではなく、新外国投資法の規制の問題からフランチャイザーとして現地ミャンマー企業にノウハウなどを提供しているもようである。
このように、ミャンマーで店舗展開をするにはフランチャイジーとしての現地パートナーが必要となってくる場合が多い。韓国ロッテにとっては、自社で投資ができずフランチャイザーとしての役割だけであっても、ヤンゴンでビジネスメリットが得られると判断したのであろう。その戦略通りに競合がほとんどいない現在、ヤンゴン市内で確実にブランドの知名度を高めている。
また小売業も、12年11月に制定された新外国投資法とその施行細則(13年1月発表)では15年以降に外資企業にも認められる予定である。現状ではスーパーやデパートは一定面積以上であれば条件付きで認められるもようだが、既存のミャンマー資本の店舗が脅かされることがないように出店場所に条件があるなど、当局の判断による部分も大きく、当局との事前交渉が欠かせない。ミャンマーへ投資を進める際には、他のアジア各国と同様に情報収集や当局との交渉、条件のいい場所の確保も含めて、頼りになるパートナーを早くみつけることが重要になってくるだろう。
【焦点】
ミャンマーへの市場参入は、早いほど競合もいないうえに力を持つパートナーと出会えるチャンスが多い。だが、想像以上に法律やインフラの未整備が足を引っ張る可能性もある。また外食産業では、ミャンマー人の多くが牛肉を食べない習慣があるなど、メニューや商品の品ぞろえを考えるうえでミャンマーの食生活をよく理解する必要がある。ミャンマーも日本ならではの「おもてなし」や「接客」が通じる国であり、日本企業が国内外で積み上げたサービス力を生かせれば、市場として魅力のある国の一つになる可能性は高い。
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【プロフィル】小原綾子
おばら・あやこ 2007年から日本企業の海外進出支援業務に従事。現在は主にミャンマーとラオスへの進出支援業務などを担当。