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地方経済 人手不足など懸念 7月さくらリポート
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日銀が公表した7月の地域経済報告(さくらリポート)は、消費税増税が足腰の弱い地方を直撃するとの懸念を打ち消す内容となった。増税から3カ月を経ても設備投資や雇用・所得は上向いている。ただ、住宅投資で駆け込みの反動減が大きく出た地域があるほか、人手不足が成長を損なう懸念が残る。
さくらリポートを項目別でみると、設備投資で北海道や近畿など4地域で判断を引き上げた。大企業に加え、地方を支える中小企業でも投資への姿勢が強まっている。東海地方では、工作機械などで「中小企業による発注が増えている」(梅森徹・名古屋支店長)。電機・機械メーカーが集まる近畿では、「中堅・中小企業の今年度の設備投資計画額は前年度比16%増」(宮野谷篤・大阪支店長)の勢いだ。
パナソニックは滋賀県の工場でエアコンや洗濯機を生産しており、4~6月期は前年より好調だ。円安傾向が続く中、エアコンなどの海外生産の一部を、早ければ年内に国内に戻すことも検討しているという。
個人消費は全地域で判断を維持した。北海道では、外国人観光客による消費が支えとなり、「(反動減が)結構なスピードで終わっていった」(曽我野秀彦・札幌支店長)という。
夏場以降も観光消費が活発に推移すると見込まれている。JTBは、7月15日~8月31日の1泊以上の国内外の総旅行消費額が3兆5027億円と過去最高になると予想する。
一方、北海道では住宅投資が「減少しつつある」に下方修正された。公共投資も北陸や関東甲信越、四国で判断が引き下げられた。建設コストの増加や人手不足が響いたためだ。建設業界ではコンクリートを型枠に流す型枠工の労務費が、震災前に比べ「東北で2.5倍、関東で2.2倍、関西で1.5倍」(大林組)に高騰した。
設備投資が上向いてきた九州・沖縄について、市川能英・福岡支店長は記者会見で、「公共投資や住宅投資が引っ張ってきた景気の主役が変わりつつある」と指摘。政策主導の景気回復から、地域固有の産業が牽引(けんいん)役となる力強い地方経済の確立が一段と重みを増している。
また、スーパーでは「地方の不振が大きい」との指摘もある。3~5月期の決算発表で、イオンの岡田元也社長は「地方では日用品の低価格志向が強まっている」と分析している。同社は大型セールに踏み切ったが、「デフレ下の値下げ競争」に逆戻りする恐れも伴う。