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断食月明け 地方で1500億円支出 インドネシア 3000万人が帰省

ニュースカテゴリ:政策・市況の海外情勢

断食月明け 地方で1500億円支出 インドネシア 3000万人が帰省

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普段の渋滞から一転して閑散とした首都ジャカルタ中心部のタムリン通り。レバラン休暇中のジャカルタは「排ガスも少なく、1年で一番空気がきれいな時期」ともいわれる  イスラム教徒が国民の9割近くを占めるインドネシアが7月28日に断食月明け大祭(レバラン)を迎えた。日本でいえば「盆と正月」が一緒に来るようなもので、都市部などに住む地方出身者の多くがレバランの前後に約1週間の休みを取得して帰省する。ここ数年は7~8月にレバランとなるため、インドネシア在住の日本人も夏休みをレバラン休暇に合わせて一時帰国する場合が多い。

 ◆増えるバイク利用派

 インドネシア運輸省の予測によると、今年帰省する人は昨年より約10%増の3000万人。レバラン休暇期間中に地方で落とされるお金は1500億円に上るといわれている。移動費用に加え、帰省者は故郷で土産物を買ったり、親戚(しんせき)と外食したり、日本のお年玉にあたるご祝儀を子供たちに振る舞ったりする。まさに、人と金の大移動だ。

 経済の安定による中間所得層の増加などで自家用車の所有者が増えたのに伴い、帰省者全体の4分の1近くが乗用車で帰省する。近年、特に増えているのが自家用車を購入できないオートバイ利用派だ。帰省者全体の42%が月収3万円以下の低所得層であることを反映している。

 普段は極度の渋滞が終日続く首都ジャカルタが、レバラン休暇中は閑散となる半面、地方へと向かう高速道路や幹線道路は帰省ラッシュで大渋滞となる。幹線道路では自動車の渋滞の列の隙間を縫うように、おびただしい台数のオートバイが走る。オートバイの多くが故郷への土産など大きな荷物を背負ったり、車体にくくり付けたりした夫婦の2人乗りで、なかには子供も乗せた3人、4人乗りも見られる。彼らは帰省先によっては数百キロの道のりを1泊から2泊をかけて帰省する。

 ジャカルタ在住で大学講師のラフミさんも毎年、自家用車を使って家族で2泊かけて東ジャワ州まで帰省する。幹線道路沿いのホテルは全て予約で満室だという。しかし、ラフミさんは帰省費用節約のコツがあると笑う。「ガソリンスタンドに駐車して仮眠するのよ。売店もあるし、明るくて安全だからね。人々は『ガソリンスタンドホテル』と呼んでいるよ」

 国営石油ガスのプルタミナが経営するガソリンスタンドは帰省期間中、24時間営業サービスを提供している。オートバイ利用者の中にはガソリンスタンドに新聞紙などを敷いて仮眠をとる猛者もいるという。

 ◆運輸省が事故削減策

 オートバイ利用者の増加に伴い、帰省期間中の交通事故も多発している。インドネシア警察庁によると、昨年の交通事故は3675件、死亡者が795人。このうち、オートバイによる事故が72%を占めるという。

 これに対し、運輸省は期間中の渋滞緩和と事故削減のため、オートバイ利用者を対象にバスとトラックで帰省者とオートバイを主要都市まで無料で輸送するサービスを行っている。

 今年は、全国で昨年の倍の2万7000人をカバーし、さらに鉄道や船舶でも同様のサービスを行った。

 一方、警察も例年通り休日返上で全国各地の幹線道路に警察官を配備し、交通状況の監視や渋滞緩和のための迂回(うかい)路への誘導などを行っている。警察当局は「これで少しでも事故が減ってくれれば」と期待を寄せる。

 こうした対策が功を奏したのか、レバラン前半の帰省ラッシュは昨年より緩和されたともいわれている。

 8月に入るとUターンラッシュを経て、5日過ぎからはジャカルタの街も渋滞とともに通常の姿に戻る。(在インドネシア・フリーライター 横山裕一)

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