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【海外進出支援の現場から】インドネシア 外資規制の頻繁な改正に注意

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【海外進出支援の現場から】インドネシア 外資規制の頻繁な改正に注意

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 □林大幹・みずほ銀行直投支援部 国際業務アドバイザー

 【問題】

 「インドネシアのネガティブリスト改正について情報提供してほしい」。外資の投資規制分野について定めたネガティブリストが2014年4月23日付で改正されて以降、このような問い合わせを多く受ける。同改正は10年以来4年ぶりとなる。4年前に比べ、インドネシアの国際的地位は大きく向上している。

 今年6月時点では、1700社以上の日系企業がインドネシアに進出しているといわれ、ここ数年は自動車産業を代表とする製造業に加え、約2億5000万人で世界第4位の人口と活発な個人消費をにらみ、卸売業、サービス、小売業の進出も顕著になってきた。同国に進出する日系企業は今後も増え続け、業種や事業分野も多様化することが予測される。

 今回はネガティブリストの改正について、その背景や今後の影響を考察したい。

 【対策】

 今回の改正では、発電や送配電、運輸、製薬などで規制を緩和した半面、エネルギーの一部、公共事業、商業などでは規制を強化した。

 インドネシア投資調整庁によると「東南アジア諸国連合(ASEAN)の経済自由化を見据え、国内企業の競争力向上のため特定の分野で規制を強めた一方、国外からの投資を増やすために全体のバランスを考慮した内容となった」とのことだが、日系を含む外資企業からは、全般的に規制が強化されたと不満の声が上がっている。

 その中で最も注目すべきは、「ディストリビューター(卸売業)」の外資出資上限が、改正前の100%から改正後は33%に規制強化されたことだ。これまで多くの日系卸売業者が外資100%出資可能を前提に進出してきた。卸売業は、工場投資を必要とする製造業に比べ進出しやすいため、進出済み日系企業の2割強を占め、直近2年間でも社数が1.4倍に増えた。

 改正の背景として、製造業などと異なり特殊なノウハウや膨大な資本を必要としない卸売業に対し、インドネシア国内業界団体が外資参入障壁を求めてきたことが挙げられる。

 インドネシア商工会議所は、政府が卸売業の外資出資上限を7割に強化する改正案を検討していた際、3割まで引き下げるよう要請した。中小企業団体である経営者会議は、流通・小売りの規制強化を要請。政府が改正案で中小企業の多い業種を外資に開放しなかったことを評価していた。

 今後、外資企業が卸売業で進出する際は、現地パートナーを探さなければならない。また、外資企業は経営の主導権を握れなくなった。

 ただし、業態を絞り込むことによって、卸売業でも外資100%による進出可能性も残されている。インドネシア投資調整庁が今年5月に現地日系企業向けに開催した説明会によると、「貿易会社」は卸売業の定義に含まれず、(1)インドネシアの国外から輸入で仕入れて国内で販売(2)インドネシアの国内で仕入れて国外へ輸出-の2つの場合は貿易会社として扱われ、外資100%での進出が可能とのことだった。

 とはいえ、インドネシアは縦割り行政で、各行政担当官の裁量により判断が変わることも多い。今後の実例を注視する必要がある。

 【焦点】

 インドネシアでは、ネガティブリストをはじめ各種規制が頻繁に改正されている。新規ビジネスを展開する上で、外資規制の把握は欠かせない。加えて、改正の背景や影響を検討することも必要だろう。

                   ◇

【プロフィル】林大幹

 はやし・だいき 2010年から国内の高速道路会社に勤務。主に高速道路の新設・管理に伴う法手続き担当。2014年からみずほ銀行で日系企業の投資支援業務に従事。

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