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【アジアの目】ミャンマー農民発展党 チョウ・ソワ・ソウ党首に聞く
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ミャンマー農民発展党チョウ・ソワ・ソウ党首 ■経済底上げに日本の支援期待
民政移管後のミャンマーで、初めての総選挙が来年末に行われる。選挙までおよそ1年となり、同国内では各政党や政治家の動きが活発化している。そのなかで「台風の目」となりそうなのが、ミャンマー農民発展党(MFDP)だ。同党のチョウ・ソワ・ソウ党首(49)は、ヤンゴン郊外の党事務所で本紙のインタビューに応じ、次の総選挙での勝利に自信を示した。また、農民の生活向上のため、中国ではなく日本を参考に農業政策を進める姿勢を強調した。
◆少数民族政党と協力
--結党から丸2年が経過したと聞く。来年の総選挙に向けた準備は進んでいるのか
「330選挙区のうち150選挙区に候補者を立てる予定だ。少数民族政党の連合組織、民族同胞連盟(Nationalities Brotherhood Federation=NBF)とは選挙協力を約束した。われわれとNBFなど民族政党を合わせれば(軍人枠を除く)過半数に届くだろう」
--なぜ、農民発展党を組織したのか
「ミャンマーは国民の70%が農民だ。その農民が困っている。問題は現在の政府や野党は経済を知らず、農民の生活は一向に改善していない。農民の生活を底上げすることで、ミャンマー全体の経済を押し上げることができる。そのために党を立ち上げた」
--党の立ち上げ資金はどう手当てしたのか。現在の党員数は
「3つの会社を経営していたので自分の金だ。2000万円で政党はできる。党員は半年前の党大会の時点で250万人。会費は取らず、入党費が1人1000チャット(約108円)。それを基金として運用しており、いまのところ回っている」
--現在の与党、連邦団結発展党(USDP)が補完勢力にしようと、裏で農民発展党を支援しているという噂がある
「それは違う。そういう話は、われわれ農民発展党の躍進を恐れる勢力が流す悪質な噂だ。われわれを潰すため、悪い評判を立てれば、国民は政策の中身ではなく、感情で投票を決める」
--農民のための政策とは
「今、ミャンマーの農家は本当に貧しい。政府は農地を担保に農家に金を貸すが、4カ月で返済しなければならない。そこで農民発展銀行を作った。融資期間を1年にし、担保がある限り上限はない」
--農業では産品の輸出はもちろん、肥料や種子輸入など中国との関係は深い。中国との関係はどうするのか
「ミャンマーの農民の多くは、中国との付き合いにはいらだっている。これまでの政権が中国と約束したことは守るが、新たな案件は国民の意見を把握しながら進めていきたい。個人的には日本に10年もいたので、日本人の考え方や仕事のやり方を気に入っている。国民民主連盟(NLD)の後ろ盾は米国、USDPの後ろには中国がいると私は思っている。だから日本には、農民発展党の後ろ盾になってもらいたい」
--NLD党首のアウン・サン・スー・チー氏についてはどう思うか。あなたの父親もかつてNLDの幹部だった
「父は2010年に亡くなった。彼女とは一緒に働いたことがないのでわからないが、彼女もすでに70歳を過ぎ、若い人の考えとは違うと思う」
--もし、農民発展党が政権についたら、どういう政治を進めるのか
「農民発展党が仮に政権についても、単独で国家を運営できるだけの人材は不十分だ。新政権はNLDもUSDPも参加した連立政権にすることが一番良いだろう」
◆ティラワは説明不足
--ミャンマーでは土地をめぐる問題が各地で起きている
「新農地法では農地を手に入れても半年以内にプロジェクトを開始しなければ、返さなければならないと定められている。これを使って農民とともに返還訴訟を起こし、何万ヘクタールも取り戻してきた。日本政府にも言いたい。ヤンゴン郊外でティラワ経済特区(SEZ)の開発を日本が進めている。しかし、ティラワの農民は、日本が軍政と一緒に農地を没収したと思っている。そうではないというなら、誤解を解くために、日本政府が適切な方法でミャンマー政府から手に入れたということを、きちんと彼らにわかるように発表してもらいたい」(ヤンゴン 宮野弘之)
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【プロフィル】チョウ・ソワ・ソウ
1965年5月19日、ヤンゴン生まれ。父親はネ・ウィン時代の国軍高級幹部。ヤンゴン大学在学中、88年の民主化要求デモに参加し、タイに亡命。89年から日本に滞在し、民主化活動を支援。97年に帰国し製材事業などを立ち上げる。2010年の総選挙と12年の補選に国民政治同盟から立候補し、落選。12年8月、農民発展党を結成。