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【Dr.小池の日本を治す!】本当の「地方創生」のために
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シャッターが下りたままの店舗が多い地方の商店街は人も交通量も少ない=新潟県内 ■東京一極集中を是正する道は
安倍内閣は、今国会を「地方創生国会」と位置付け、「国民が安心して働き、希望通り結婚し子育てができ、将来に夢や希望を持つことができる、魅力あふれる地方を創生する」としています。しかし、地方から「安心して働く」場や「結婚し子育てができる」環境を奪ったのは一体誰でしょうか。それは、農業を破壊し、福祉を削り、市町村合併などで地方を切り捨ててきた、これまでの自民党政治にほかなりません。
◆「人口減少」の原因は何か
国会審議が始まった「まち・ひと・しごと創生法案」は、「地方創生」の中心問題に「人口減少の克服」「東京一極集中の是正」をあげています。
しかし、人口減少はなぜ起こったのでしょうか。今日、若者が結婚し、出産、子育てをしていくことが難しい状況です。若者と女性の2人に1人が非正規など、異常な不安定雇用と低賃金、長時間労働を強いられているからです。これらは、自公政権による労働法制規制緩和で作りだされたものです。
安倍内閣が、今国会に提出している労働者派遣法「改正」案は、若者に「生涯ハケン」を押し付け、正社員化どころか、逆に正規から非正規へ置き換えるものです。これがどうして「人口減少の克服」につながるのでしょうか。
◆壊された地方の産業と雇用
「東京一極集中の是正」を言いますが、そもそもなぜ「集中」してきたのでしょうか。
地方から東京圏への人口流入は、地方の産業が壊され、雇用が失われたからです。地方の中心的産業であり、雇用の場でもある農業や林業は、輸入自由化路線によって潰されてきました。大店法廃止後の「まちづくり3法」は機能せず、郊外大型店の身勝手な進出と撤退で、シャッター通りが全国に拡大しました。
さらに、「企業立地促進法」は、多国籍企業の地方進出を後押しし、自治体の企業誘致の補助金競争をあおりました。肝心の雇用は非正規が増え、最後には大企業の身勝手な工場の縮小・撤退が繰り返され、産業の空洞化や産地の崩壊を招いたのです。
しかも、国策で進められた「平成の大合併」によって、1999年3月末、3232あった地方自治体はほぼ半減。自治体の面積は平均で2倍になる一方、地方交付税は大幅削減され、地方の疲弊を加速させたのです。
その上、国際競争力の名で都市関連法制の規制緩和を進める都市再生政策や道路、港湾、空港など大都市部の大規模開発が、地方の人口を吸い上げたのです。
◆原因放置の矛盾した政策
今、米価が大暴落し、農家経営が立ち行かない事態が起こっています。日本とオーストラリアの経済連携協定(EPA)や環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を推進すれば、農畜産業はじめ地域経済に壊滅的な打撃を与えるのは明白です。これらは地方経済に深刻な影を投げかけています。
東京、大阪、名古屋の3大都市を結ぶ「スーパー・メガリージョン」とは何でしょうか。中心に据えられているリニア中央新幹線を整備すれば「東京一極集中」が加速することは、リニア整備を認めた審議会でさえ指摘しています。
地方から産業と雇用を奪った原因を放置し、一極集中を加速する政策をとりながら、どうして「東京一極集中」を是正できるのでしょうか。まさに矛盾だらけの政策です。
国民が生活するすべての地域を自治体とともに支えていくこと、それが本来の国の役割です。
農林水産業や再生可能エネルギーなど地域資源の活用を進めて雇用と所得をつくり、医療と介護を確保して地域の安心を築く取り組みに応えること、条件不利地域への地方交付税を大幅に拡充することが必要です。大都市圏への大型開発を見直して、地域密着、防災・維持管理優先の公共投資に振り向けることが求められています。
「地方創生」を掛け声だけで終わらせない、政治の責任が問われているのです。
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【プロフィル】小池晃
こいけ・あきら 1960年生まれ、東京都出身。東北大学医学部医学科卒。東京勤労者医療会代々木病院などを経て現在、参議院議員、日本共産党副委員長・政策委員長。著書に「どうする 日本の年金」(新日本出版社)など。