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【新興国に翔ける】ベトナム市場は店舗数獲得に照準

ニュースカテゴリ:政策・市況の海外情勢

【新興国に翔ける】ベトナム市場は店舗数獲得に照準

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ベトナムの中間的小売りの店舗(筆者撮影)  □スパイダー・イニシアティブ代表 森辺一樹

 食品や日用品などの消費財メーカーが、ベトナム市場への参入を考えるとき、導入期の参入戦略は、何を差し置いても「間口数」の獲得以外にない。間口数とは、商品を陳列できる「店舗数」を指す。

 これはベトナムに限らず、東南アジア諸国連合(ASEAN)市場であれば、どこでも言えることだが、一般的な日本企業の場合、導入期の参入戦略として、まずスーパーマーケットなど近代的小売りの間口獲得に躍起になる。そこで確固たる地位を築くことが何より優先だと考えてしまう。

 ベトナムの近代的小売りの代表格は、地場のコープマートを中心に独メトロ、ベトナムビッグC、韓国ロッテマートなどが挙げられる。日系はイオンの存在が大きい。コンビニエンスストアでは、地場のSatraマートやShop&Go、Foocoマートのほか、ビーズマート(タイ)、サークルK(香港)などが急速に店舗数を増やしている。

 しかし、最も多い場合でも100店舗に満たず、これら近代的小売りの全店舗を合わせても1000店に遠く及ばない。つまり、近代的小売りの間口を完全に制覇しても、間口数は1000にも満たないということだ。

 もちろん、近代的小売りの間口は、1間口当たりの販売数が多い。とはいえ、間口の絶対数が1000であれば、いくら1店舗当たりの販売数が多いといっても、メーカーにとっては近代的小売りだけでは利益が出ない。

 一方で、ベトナムは小売市場の8割以上を伝統的小売りが占め、間口数は50万店とも言われている。これを考えれば、特にベトナムでは近代的小売りの間口だけでは利益が出ないことが参入前から明白だ。

 また、日本では近代的小売りと伝統的小売りにばかり目が向けられるが、実際には中間的小売りが存在する。中間的小売りの定義はさまざまだが、伝統的小売りよりも明らかに規模が大きい。伝統的小売りの間口獲得は容易ではないが、中間的小売りの間口獲得は比較的容易だ。これは別の機会に詳しく書くが、中間的小売りを活用した伝統的小売りの間口獲得という戦略もある。

 ASEANの中でも、特に近代的小売りの数が少ないベトナムでは、徹底して間口獲得に照準を絞り、販売網(横軸)を広げることが重要だ。そして、一定の間口数を獲得したら、一気に販売攻勢をかけて商品販売数量(縦軸)を伸ばして成長期戦略へと突入することが事業成功の鍵となる。

 日本と異なるASEANの流通構造では、横軸を伸ばさない限り、何をやっても利益は出ない。

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【プロフィル】森辺一樹

 もりべ・かずき 海外販路構築のスペシャリスト。10年以上にわたり1000社以上の海外展開の支援実績を持つ。アジア新興国市場の販路構築が専門。海外市場開拓コンサルタントの第一人者として活躍中。“アジアで売る”ためのノウハウをネットラジオで無料配信中! www.spyderagent.com/podcast

 >>森辺氏のツイッターは @kazukimoribe

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