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AEC発足でタイ教育現場に変化 インターナショナルスクール急増

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AEC発足でタイ教育現場に変化 インターナショナルスクール急増

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バンコク・トンロー地区のバンコク・インターナショナル・プレパラトリー・セカンダリー・スクール。現在、バンコクには100校近いインターナショナルスクールが存在する(小堀晋一撮影)  2015年12月に経済統合する東南アジア諸国連合(ASEAN)の中心地タイで、小学生から高校生までが通うインターナショナルスクールの人気が高まっている。14年は6校が開校、15年も数校が設立を申請する見通し。背景には、ASEAN経済共同体(AEC)の発足を前に企業の投資意欲が増し、ヒト・モノ・カネの流れが加速しているとの見方がある。首都バンコクだけでなく、南部経済回廊など陸上物流網を抱える国境沿いの地方都市にも設立の動きがあるという。こうした流れは当分続きそうだ。

 ◆2倍の申請ペース

 タイの民間教育振興委員会事務局によると、タイ国内には現在、約170校のインターナショナルスクールがあり、15年中にさらに数校が設立される見通しだという。都市の人口集中や国際化が進んで生徒の数が増えていることなどから、ここ数年、新設校の申請が続いている。それでも年に3校程度だった。ここにきて2倍前後のペースに高まっているのは、「AEC発足の影響に間違いないだろう」と同事務局は分析する。

 バンコクの東にあるサムットプラーカーン県を拠点として3校を運営するプラパーモントリー・インターナショナルスクール・グループは、今後、生徒の国際交流が加速するとして4校目の開設を決めた。県内にはスワンナプーム国際空港があり、タイ最大の港湾施設レムチャバン港や観光都市パタヤも近い。南部経済回廊の通過点にも位置し、「アジア各国や周辺国からの需要がある」(同グループ事務局)と踏んだ。同グループはシンガポールが定めるカリキュラムを採用しており、授業の6割以上を英語で行っている。

 バンコク・チャトチャック区にあるセント・ステファン・インターナショナルスクールも新キャンパスを16年以降、開設する予定だ。所得が向上したタイ人家庭のほか、カンボジア、ベトナム、ミャンマーなどの新興ビジネスマン家庭や富裕層の子供たちをターゲットにする。このため、国境周辺都市でのキャンパス設置も視野に入れる。教師の確保などを15年から始める計画だ。

 中高生を持つ保護者の関心も高まっている。ノンタブリ県にあるインターナショナルスクール・バンコクには、日本や韓国、中国などのビジネスマン家庭から問い合わせの電話やメールが2~3年前から増えているという。同校は1951年開校の伝統校で、もともとは国連職員とアメリカ人外交官の子供たちを対象にバンコクで開設された。北米式のカリキュラムを採り入れた質の高い教育が好評で、03年にはインターナショナルスクールとしては初めてタイ教育省の教育栄誉賞を受賞した。

 ◆周辺国より安い学費

 外国人ビジネスマンのタイ駐在が増え、年頃の子供を持つ親にとって異国での教育問題は特に関心が高い。しかし、日本語などの母国語で授業が行われるのは義務教育の中学校までで、高校進学を機に母親とともに帰国するケースがこれまで大半を占めていた。高校就学年齢に達してもタイにとどまるのは「ビジネスのグローバル化とともに、子供の英語教育を重視する親が増えるなど、意識の変化もあるのではないか」とインターナショナルスクール・バンコクの事務局担当者はみている。

 タイのインターナショナルスクールに人気がある背景には、フィリピンやマレーシアといったASEAN他国よりも学費が比較的安いという事情もある。タイ・インターナショナルスクール協会によると、タイのインターナショナルスクールの平均的な学費は年間2万ドル強(240万円前後)。英語が本場のフィリピンの同3万ドル弱、マレーシアの同2万5000ドルと比べ20~30%以上も安い。

 15年12月のAEC発足後は、加盟各国域内における関税が撤廃されるほか、熟練労働者の移動と投資の自由などが加速する。

 この動きを先取りする形で、インターナショナルスクールを中心に子供の教育現場にも“変化”が生じている。(在バンコク・ジャーナリスト 小堀晋一)

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