SankeiBiz for mobile

“三方よし”目指した予算案 アベノミクス加速を重視、財政再建は課題も

ニュースカテゴリ:政策・市況の国内

“三方よし”目指した予算案 アベノミクス加速を重視、財政再建は課題も

更新

 2015年度予算案は、足元の経済を立て直すと同時に、人口減対策を踏まえた地方活性化や成長戦略の加速など、将来の日本経済の成長も見据えた野心的な内容となった。しかも、消費税再増税延期で財源が細る中、財政の健全性を示す基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の赤字半減目標も達成し、財政健全化への取り組みも前進させるという“三方よし”を目指したものだ。

 “安倍カラー”の象徴が「地方創生」への手厚い予算配分だ。自治体が自由に使える新たな1兆円の歳出枠を新設した。それとは別に、地方大学と地域企業の連携支援や新規就農の支援など地方活性化策に7000億円超の予算を計上した。

 社会保障の充実策の子育て支援などとあわせ、国と地方で総額3兆円超を地方創生に回すのは、消費税増税で失速した景気を回復し、経済を安定成長させるには「全国津々浦々にアベノミクスの効果を浸透させる」(安倍首相)ことが不可欠だからだ。

 農業や教育予算を抑える一方、日本の企業や研究機関の競争力強化を後押しするため、人口知能(AI)やロボットの研究開発への予算を手厚くした。経済の生産性を高め、成長戦略を前進させる狙いだ。

 国益を意識した政策も盛り込まれた。防衛費は14年度に比べ1000億円増の予算を確保。海上自衛隊のP1哨戒機20機や水陸両用車を30両の調達など、東アジア情勢をにらんだ離島防衛や日米の防衛協力を見据えた装備品強化を重視した。在外公館の新設など対外発信力の強化策もほぼ満額認められた。

 一方、歳出改革は力不足だ。昨年夏の試算ではPBの赤字半減目標が達成できる水準をさらに7500億円程度上回る余裕があった。だが、今回の予算案では社会保障費が前年度より1兆円増えたため、PB目標は「税収が増えていなければ達成できなかった」(財務省)ほど収支は悪化した。安倍首相は「経済再生と財政健全化の両立」を掲げ、予算編成の基本方針でも「聖域なく歳出を見直す」としていたが、予算の効率化は課題が残った。

 すでに1000兆円の借金を抱える日本経済にとって、成長と財政再建の二兎(にと)を追う難しいかじ取りは、安倍政権の宿命でもある。経済成長に必要な予算を確保していくためには、無駄の徹底排除も欠かせず、政権の強い意思が問われている。

ランキング