SankeiBiz for mobile

同性婚めぐり米国で論争過熱 「平等は当然」「伝統を尊重せよ」

ニュースカテゴリ:政策・市況の海外情勢

同性婚めぐり米国で論争過熱 「平等は当然」「伝統を尊重せよ」

更新

同性婚カップルのケンゴットさん(左)、ソンガーさん(中央)と精子提供で生まれたスカイラーちゃん=4月28日、ワシントンの連邦最高裁前(小雲規生撮影)  【ワシントン=小雲規生】米連邦最高裁判所で6月に見込まれる同性婚の是非をめぐる判決を前に、論争が過熱している。同性婚支持派は同性カップルと異性カップルを平等に扱うことは当然だと主張。反対派は社会や信教の自由に与える影響の大きさに懸念を示し、伝統的な結婚観を尊重するよう求めている。最高裁が同性婚を憲法上の権利と判断すれば全米50州で同性婚が認められ、その反対なら現実に進む同性婚の扱いが難しい。判決が米国社会に大きな波紋を巻き起こすことは間違いない。

 「私たちが求めるのは平等。実現すべきときは今だ」。4月28日、同性婚裁判の審理が行われた連邦最高裁前で、レインボーカラーの旗を広げた支持派のグループが声をそろえて訴えた。同じ場所に集まった反対派からは押し返すように反論の声が上がる。「社会には子供が必要。子供には父親と母親が必要だ」

 最高裁前に集まったのは約千人。4分の3程度を占めた支持派の論点は、同性カップルと異性カップルを区別することは憲法で禁じられた差別にあたるという点に集約される。

 昨年、女性同士のカップルとして結婚し、精子提供でもうけた4歳の女児を連れて最高裁前を訪れたクリス・ケンゴットさん(45)は「私たちは幸せな家庭を築き娘は私たちを愛してくれている。同性婚承認は当然だ」と力をこめた。

 一方、反対派の論拠はさまざまだ。キリスト教系の団体は「聖書で同性婚は宗教上の罪とされている」と主張。結婚問題に関する民間非営利団体(NPO)は「異性間の結婚はどんな政府より昔からある仕組みだ」とし、養子などとして同性カップルに育てられた子供は高校卒業率が低いなどとする調査結果も挙げて反対する。反対派に加わったジョシュ・デントンさん(20)は「同性婚は社会に悪影響をもたらす。子供は父母によって育てられるべきだ」と話した。

 米国では2013年6月、最高裁が税制などでの優遇措置を異性間の婚姻関係のみに認める連邦政府の「結婚防衛法」を違憲と判断。それまで同性婚は9州と首都ワシントンだけで認められていたが、新たに28州で認められるようになった。米メディアは「雪崩のような勢い」で同性婚が拡大しているとする。

 しかしこの現象にはトリックもある。同性婚を認める37州のうち、同性婚を合法化する法律や住民投票が成立しているのは11州のみ。他の26州は同性婚を禁じる州憲法や法律に連邦高裁などが違憲判決を下した結果、同性婚が承認されるようになった。住民の判断によらない拡大もあるため、反対派からは「理解が広がっているというのは、リベラル系メディアの宣伝工作だ」(キリスト教系団体)との声もあがる。

 また米国では州が管轄する結婚制度に、連邦政府の司法制度が介入することへの問題点も指摘される。AP通信の「最高裁が全米での同性婚承認を決めるべきか」との質問への回答は賛成50%、反対48%と拮抗(きっこう)した。各社世論調査では約6割が同性婚を容認するが、共和、民主の支持党派別ではなお大きな開きがある。

 最高裁が同性婚を認めなかった場合、司法判断で同性婚が認められている26州の行方は不透明だ。ただ米調査会社ギャラップの推計によると、米国ではすでに18歳以上の約0・8%にあたる約200万人が同性のパートナーと結婚しているか同居している。社会が変化するなか、最高裁は歴史的な判断を下す。

 連邦最高裁の判事

 定員は9人で、大統領が指名した候補者が上院での承認を経て就任する。任期は終身のため、高齢の判事も多く、現在の平均年齢は69歳。共和党の大統領に指名された判事は保守系、民主党の大統領に指名された判事はリベラル系に大別される。ケネディ判事は共和党のレーガン大統領に指名されたが、重要な裁判でリベラル派と同じ立場を取ることも多く、中間派とみなされている。

ランキング