小麦粉メーカーが経営する「ピッツァ大学」 消費者にノウハウを叩き込む狙いは?
更新普通、消費者には顔を出さないメーカーがピッツァ文化を新たに創造しよう、というのだ。日本の日清製粉のサイトを見ると、パンや菓子の一般向けの教室を主宰しているが、このように強いメッセージ性はみられない。
ピッツァ大学のコースでは、小麦粉の練り方から焼き方まで、あるいは売り方から店舗経営までのノウハウを教える。注目すべきは、そうしたプロセスの一つ一つを画像にとってソーシャルメディアなどにアップしていく、コミュニケーションの方法まで教授することだ。
この範囲まで手を伸ばさないと文化を作り上げることは難しいことを自覚し、自分たちの手で着実にノウハウを蓄積しながらコミュニティを形成している。まさにB to BとB to Cの世界を包括したアプローチといえる。
B to BとB to Cのアプローチに分析的になり過ぎず、あまりチマチマとやらないことが一番かもしれない。モリーノ・グアイア社の活動をみていると、そんな気になる。(安西洋之)
【プロフィル】安西洋之(あんざい ひろゆき)
上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。現在、ローカリゼーションマップのビジネス化を図っている。著書に『世界の伸びる中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』 共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのサイト(β版)とフェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih
ローカリゼーションマップとは?
異文化市場を短期間で理解するためのアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だが、異文化の対象は海外市場に限らず国内市場も含まれる。
