【関西の議論】日本の宝は国産で守る…中国産「漆」に待った 発祥の地、奈良・曽爾村の挑戦
更新地方創生の起爆剤
そうした中、「漆部郷の誇りを取り戻そう」と立ち上がったのが、村の塩井地区(約50世帯)の住民だ。深刻な過疎化を前に、漆という歴史資源を地方創生の起爆剤にしたいとの思いからだった。
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平成17年には地区有志で「漆ぬるべ会」を創設。県外の漆専門家の指導を仰ぎながら、地区にかろうじて残っていた11本の原木の根を分ける方法で、植樹を始めた。
だが、土が合わなかったり、シカに食べられたりとなかなかうまく育たない。「漆はかぶれる」と嫌われ、住民の理解を得ることも簡単ではなかった。
道のりは平坦(へいたん)ではなかったが、これまでに千本を超える植樹を行い、どうにか200本程度が残った。同会の松本喬(たかし)会長(70)は、「数え切れない失敗を繰り返して、最近やっと漆に適した土地の条件が分かってきた」と話す。
28年、ついに漆の採取作業「漆掻き」をスタート。昨春には地域おこし協力隊の並木美佳さん(29)がメンバーに加わり、若い力で活動が本格化した。
漆掻きは木の幹を刃物で傷つけ、木がその傷を癒そうとして自ら出す樹液を採取する地道な作業で、これまでに採取できたのは約800cc(牛乳瓶約4本分)。ごく少量とはいえ、念願だった村産漆であることは紛れもない事実だ。


