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【経済インサイド】おむつ、化粧品…「爆買い」に異変 忍び寄る中国リスク

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 中国人の消費意欲が衰えていないことは、2月4日に始まった春節(旧正月)商戦からもうかがえた。東京・銀座へ足を運ぶと、百貨店の化粧品売り場や化粧品大手の直営店は、中国人観光客であふれていた。少なくとも表面上は、ここ数年と何ら変わっていないように見える。

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 EC法成立で変化

 もっとも、一部では中国向けの苦戦が形となって表れ始めている。

 2月4日に決算を発表した花王の場合、苦戦は化粧品より子供用紙おむつ「メリーズ」で目立った。30年12月期の連結営業利益は前期比1.4%増の2077億円と、6年連続で過去最高を更新した。だがメリーズの販売が低迷したため、期初計画(2150億円)には届かず、紙おむつなどのヒューマンヘルスケア事業は減益となった。

 「厳しい1年だった」 過去最高を更新したにもかかわらず、会見での沢田道隆社長には後ろ向きなコメントが目立った。

 メリーズが苦戦し始めたのは、昨年夏に中国で、ネット通販事業者に登録や納税を義務づける電子商取引(EC)法が成立したからだ。転売業者は、日本で買った商品が中国で売りにくくなると危惧。日本での爆買いを控え、中国のストックを安く売り出した。そのあおりを食って、正規ルートで販売されている商品まで売れ行きが鈍った。

 花王ほどではないが、資生堂の化粧品も影響を受けている。1月は業者の購入が前年同月比で10~20%減り、減少傾向は当分続く見通しという。

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  • 資生堂の魚谷雅彦社長は中国経済減速の影響はみられないと強調する=2月8日、東京都中央区

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