【経済インサイド】おむつ、化粧品…「爆買い」に異変 忍び寄る中国リスク
更新ただし、インバウンドの約8割を占める一般旅行者向けの売上高は、逆に約1割伸びたという。たとえ爆買いがなくなっても、中国の消費者が正規の商品に移行すれば、メーカーはビジネスをコントロールしやすくなる。
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乱立するおむつメーカー
もっとも、別の日用品メーカー関係者は「中国人の消費姿勢は明らかに変化しつつある」と指摘する。優れているからといって、値段に関係なく手を出す時代は終わりを告げつつある、との意味だ。
しかも、中国では現地メーカーの台頭が著しい。紙おむつでは数百ものメーカーが乱立し、花王によるとそれらの合計シェアは約45%に達するという。
「以前は『おむつのエルメス』といわれてきたが、最近はそこまでいわれなくなった。メード・イン・ジャパンへの評価は揺らいでいないが、日本製でなければならないかというと、少しずつそうではなくなっている」。花王の沢田社長は危機感を隠さない。
花王は今後、最新技術を中国発の商品にも取り入れるほか、ワンブランドに固執せず、ラインアップを増やすことも検討していくという。資生堂は「昨年10~12月にマーケティング投資を増やし、ほぼ中国へ振り向けた」と明かす。
日用品や化粧品は「必需品」で、経済減速の影響が及びにくい。とはいえ、及ばないという保証もない。これまでのような「わが世の春」とはいかなくなりつつあるのは確かだろう。(井田通人)
