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液体に向精神的成分 フレーバー電子たばこ、肺疾患急増で規制の動き

 米国で急速に利用が広がっている「電子たばこ」への風当たりが強まっている。さまざまな風味にひきつけられた若者の間でファッション化する一方、吸引と関係するとみられる肺疾患の患者が急増しており、各地で販売を規制するなどの動きが出始めている。(ワシントン 住井亨介)

 「ベープ」「イーフカ(水たばこ)」「ベープペン」「タンクシステム」「モッズ」…。

 米国で電子たばこはさまざまな名前で呼ばれ、吸引することは「べーピング」と称される。

 ニコチンを含まないものが一般的な日本と違い、米国ではニコチンを含む液体(リキッド)を専用の装置で加熱し、その蒸気を吸引するのが一般的だ。AP通信によると、米国では2007年ごろから販売が始まり、年間60億ドル(約6500億円)以上の市場規模に急成長している。

 米疾病対策センター(CDC)によると、液体の中には「テトラヒドロカンナビノール(THC)」という、精神状態を活性化させるマリフアナの向精神的成分が含まれていることがあり、いわゆる「ハイ」な状態になることができるという。

 CDCなどによると、電子たばこの使用との関連が疑われる深刻な肺疾患の患者は、9月24日までに805人(46州と1自治領)。関連が疑われる死者は9月27日までで13人に上っている。

 患者のうち性別や年齢のデータが得られている771人についてみると、約7割が男性だった。62%が18~34歳で、18~21歳が22%、18歳未満が16%と若年層が目立っている。

 CDCは肺疾患の詳しい原因を特定できていないとしているが、患者514人の77%がTHCを含んだ製品を使っていたとし、原因究明が行われている間は電子たばこの使用を控えるよう訴えている。

 市場の急拡大とともに電子たばことの関連が疑われる肺疾患が急増する中、特に問題視されているのが、若者に人気のマンゴーやミント、クリームといった風味(フレーバー)が付いた商品だ。

 米国立薬物乱用研究所(NIDA)の発表(9月18日)によると、12年生(日本の高校3年生に相当)の25%、10年生(高1相当)の20%、8年生(中学2年生相当)の9%がニコチン入りの電子たばこを過去1カ月に吸引していた。

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