大学発 日本 人と技術

日本を支える研究活動と技術開発

 ■インターネットのウイルス侵入を遮断するAIを開発

 ≪東京都市大学≫

 情報工学部知能情報工学科の塩本公平教授は、従来の0.1%程度のサンプルデータでコンピューターウイルスの約82%を検出できるネットワーク侵入検知システムを開発した。

 従来のセキュリティー対策では、ウイルスや感染パターンの特徴を把握し、パターンファイル等を多量に作成しておく必要があった。また、亜種が出現するたびに新しいパターンを作成する必要があるため、常にウイルスに侵入される可能性があった。

 今回開発したシステムは、「半教師あり」機械学習アルゴリズムを用いており、ウイルス感染を起こしうるパケット通信のパターンを少量用意するだけで、AIが学習し、ウイルス感染を起こすパケット通信パターンを検出し、その侵入を遮断する。

 今後は、1~2年後の実用化を目指して、今日のインターネットに実際に流れているパケットデータを用いて検証を積み重ねていく。

 ■人工筋肉を高速振動させたスピーカー開発

 ≪芝浦工業大学≫

 工学部機械機能工学科の細矢直基教授は、人工筋肉を高速で振動させて音を出すスピーカーを開発した。軽量かつ柔軟ながら大きな変位を生み出す誘電エラストマーアクチュエータ(DEA)を半球形や球形にして振動させることで、人の可聴音域ではほぼ無指向で、スピーカーを中心とした全方位に音を届けられる。

 DEAは高分子誘電膜を柔軟電極で挟み込んだキャパシタ構造で、電極間の電位差により電極同士が静電気力によって互いに引き合うことで変形。人工筋肉や環境発電デバイス、ソフトロボットなどへの応用が期待され、注目を集めている。

 素材自体が振動するため形状を制限しないほか、重量がわずか数グラムと軽く、これまでと異なる場所や条件でのスピーカー設置が可能になる。

 ■JEC Innovation Awards 2020で最優秀賞

 ≪金沢工業大学≫

 革新複合材料研究開発センター(ICC)が、複合材料分野の世界的な賞である「JEC Innovation Awards 2020」のスポーツ・ヘルスケア部門で、アシックス、サンコロナ小田、ナガセケムテックスとともに、陸上スプリントシューズのイノベーションに関わるパートナーとして最優秀賞を受賞した。

 今回、対象となったアシックスの「ピンレスCFRTP(熱可塑性炭素繊維複合材)スプリントシューズ」は産学連携で開発した成型技術が重要な役割を果たしており、ICCは複雑な形状のスプリントシューズの靴底材成形で必要となる優れた材料特性と高い生産性の両立の実現に貢献した。

 ■本学大学院生が大阪府eスポーツ連合理事に

 ≪大阪電気通信大学≫

 大学院総合情報学研究科デジタルアート・アニメーション学コース1年生で、本学のesports project所属の山口勇さん(株式会社PACkage代表)が4月1日付で一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)の大阪支部にあたる大阪府eスポーツ連合の理事に就任した。

 日本eスポーツ連合は、日本国内全域を対象にeスポーツを普及、発展させていくことを目的に、各都道府県を統括する支部を設置している。大阪支部でも地域におけるeスポーツの普及振興を目指し、地方在住の競技プレイヤーを育成するほか、地域におけるeスポーツ競技会を開催するなどJeSUや国体、また経産省と連携して活動していく予定。

 ■地域産業支援事業の取り組みを拡大

 ≪工学院大学≫

 東京・新宿キャンパス近くの十二社(じゅうにそう)商店会と連携した「Cyber十二社プロジェクト」の取り組みを2020年から拡大する。同大学はこれまで、地図サイトに同商店会の歴史を象徴する写真や商店の情報を日本語・英語・中国語で登録したり、学生と商店会が一体となって新宿熊野神社の大祭に参加するなど相互交流を強化。その結果、小田急電鉄のまちおこし活動や新宿区角筈図書館のビジネス講座との連携も生まれ、西新宿全体の活動へと拡大の礎が構築できた。

 2020年度は地域連携をさらに拡大し、新たにスタートした新宿再開発に同期した西新宿のブランドコンセプトの検討に着手。同商店会との連携はもとより地域企業との連携も深めて、「新しいビジネスが生まれる街」「ビジネスインキュベーターとしての西新宿」を軸として議論を進めていく。今後は5G特区としての新宿の強さも活用して、「この街なら新たな何かが始まる」という形を産学連携で実現していく。

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