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なぜ? フィリピンから届くSNS送金ヘルプメッセージ

筑前サンミゲル
筑前サンミゲル

 昨年3月15日から世界最長と揶揄されるロックダウンが続くフィリピンの首都マニラ。ロックダウンが始まって3カ月後の昨年6月、SNSフェイスブックのメッセンジャーへ複数枚のピンぼけした写真が送られてきた。

 メッセージを送ってきたのは、マニラの歓楽街マラテのローカルバーに勤めるチーママで、「ロックダウンで3カ月仕事がない。米も買えず、子どもがお腹を空かしている…」とピンぼけした米びつのような写真と子どもの写真とともに、窮状を訴えるメッセージだった。

 その後に続いたのは、「30ドルを送金してほしい」との具体的な希望金額と、さらに、ご丁寧に送金方法まで書かれていた。

 送金(支援)を求めるマニラからのヘルプメッセージだった。

 「絶対に送金しちゃダメ」

 マニラはロックダウンによって、近年、改善傾向にあった治安が再び急速に悪化し、在留邦人が窃盗に遭ったり襲撃されたりする被害が急増した。

 マニラがあるルソン島最大の歓楽街にしてフィリピン最大のコリアンタウン・アンヘレス(クラーク)は、ほぼすべてのバーやKTV(カラオケ)が営業停止となりゴーストタウン化した。バーをレストランに業態変更するなどして徐々に営業を再開し、今年に入ってからは賑わいを取り戻しつつあるようだ。

 SNSヘルプメッセージは、クラークのバー関係者からも届いた。いずれも、客として数えるほどしか訪れていないので、名前だけを見ても一瞬では思い出せないくらいだった。

 どう返信したらいいものか窮したので、都内在住のフィリピン人女性に聞いてみると…、「絶対に送金しちゃダメ」と切り捨てるように言い放つ。

 「すぐに他人に頼る悪習です。日本だって大変なのにそんな余裕ないですよ。私のところへも知人を名乗るけど聞いたこともない人からSOSメッセージが来ましたが、無視しています。私は家族にも送金できていません」

 何事もなかったかのように

 話を参考に返信はせずにスルーすることにした。すると、4カ月後の昨年10月過ぎ、何事もなかったかのように普通のあっけらかんとしたメッセージが届いた。

 どうやら、スパムメールのように、連絡できる人間へ一斉にSOSメッセージを送ったようだ。数百人に送れば、そのうち1割くらいの人は国際送金してくれたのかもしれない。たとえは悪いが「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」に近い感じだろうか。

 SNSが登場する前であれば、電子メールやショートメッセージ(SMS)くらいしか連絡手段がなかったのだろうが、SNSのチャット型メッセージであれば、開封率も返信率も高くなるので、送り手も効率がいい。

 一昔前、東南アジアへの緊急国際送金といえば、ウェスタンユニオンが有名だったが、今回、伝えてきたのは別のサービスだった。送金手数料はウェスタンユニオンの半額ほどで1万円以下なら500円くらい。現在、電子マネーでの送金も含めるとフィリピンへの送金手段は多様化している。

 そもそもフィリピン人の銀行口座保有率は3割に達しないとされる。そのため、銀行への国際送金では7割のフィリピン人は受け取ることができない。なによりも受け取りまで時間がかかる。

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