国内
ワクチン効果いつ? 接種ペース「政治の季節」に影響
新型コロナウイルスワクチンの国内の接種スピードをめぐり、シンクタンクや研究者のチームが相次いで試算をまとめている。米英両国などで人口の4割前後が1回目接種を完了したころに感染者数の押さえ込みにつながっており、国内では早ければ8月下旬にその水準に達するとの分析もある。夏には東京五輪・パラリンピック、秋までには衆院選や自民党総裁の任期満了が控える中、ワクチン接種の進捗(しんちょく)状況は五輪や政治日程に影響を及ぼしそうだ。
菅義偉首相が目標に掲げる1日100万回が達成できれば、感染状況が落ち着くのは8月以降となりそうだ。東大の仲田泰祐准教授らのチームは緊急事態宣言が6月中旬に解除されると想定した上で、1日100万回のペースで進んだ場合、東京では1日当たりの新規感染者数が8月第3週ごろに頭打ちとなる可能性があるとの試算をまとめた。
野村総合研究所は、ワクチン接種が先行するイスラエルや英国、米国では1回目接種を終えた人の割合が4割前後に達したあたりから「新規感染者数の減少傾向が明確になり始めた」と分析。1日100万回接種の場合、国内で人口の4割前後の1回目接種が完了するのは8月20日、2回目接種が完了するのは9月9日になるとした。
1日100万回接種が実現したとしても、東京五輪が開幕する7月23日の時点では1回目の接種率は29・2%にとどまる。野村総研は「新規感染者が減少に転じていても、感染者数の水準は比較的高い」と指摘する。