疾風勁草

菅義偉総理は「東京五輪実施」の意義を明確に 中華人民共和国は“勝ち組”か

高井康行
高井康行

民主主義の強靭さ示す大会に

 もし、新型コロナ蔓延を理由に東京五輪・パラリンピックが中止されれば、危機対応においては、時として人権抑圧を躊躇(ちゅうちょ)しない独裁主義、権威主義の方が、人権を重視する民主主義より優れていると言われかねない。

 オリンピック・パラリンピックの開催を引き受けた以上、それをやり遂げることは、そのときのために鍛錬に鍛錬を重ねてきた各国の選手達、その鍛え抜かれた技の数々が生み出すであろう感動の一瞬を期待している世界中の人々、そういう全世界の人々に対する責務でもある。

 もちろん、新型コロナ蔓延を理由にオリンピック・パラリンピックの中止を求める意見にも十分な理由はある。しかし、昨年と異なり、今は、ワクチンの接種も進みつつあり、PCR検査の態勢も充実されつつある。

 それを考えれば、国民が気持ちと力を合わせ、知恵を出し合えば、新型コロナの蔓延を押さえ込み、無事にオリンピック・パラリンピックを行う途(みち)が見つかるのではないか。

 そのためにも、菅義偉総理が、この時期にオリンピック・パラリンピックを開催する意義や必要性を力強くかつ明確に訴えかける必要がある。その上で、新型コロナ蔓延を防止するために必要かつ十分な施策が具体的に説明されれば、多くの国民は納得するだろう。

 日本のように人権に配慮し「緩い」規制しかしない国であっても、新型コロナの蔓延をコントロールし、無事にオリンピック・パラリンピックが実施できれば、民主主義の強靱(きょうじん)さを示すことにもなるだろう。

高井康行(たかい・やすゆき)
高井康行(たかい・やすゆき) 弁護士、元東京地検特捜部検事
1947年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒業後、1972年に検事任官。福岡地検刑事部長、東京地検刑事部副部長、横浜地検特別刑事部長などを歴任した。岐阜地検時代には岐阜県庁汚職事件を、東京地検特捜部時代はリクルート事件などを捜査。福岡地検刑事部長時代、被害者通知制度を始める。1997年に退官し、弁護士登録。政府の有識者会議「裁判員制度・刑事検討会」委員を務めたほか、内閣府「支援のための連携に関する検討会」の構成員や日本弁護士連合会の犯罪被害者支援委員会委員長などを務めた。テレビや新聞でも識者として数多くの見解を寄せている。

【疾風勁草】刑事司法の第一人者として知られる元東京地検特捜部検事で弁護士の高井康行さんが世相を斬るコラムです。「疾風勁草」には、疾風のような厳しい苦難にあって初めて、丈夫な草が見分けられるという意味があります。アーカイブはこちらをご覧ください。

Recommend

Biz Plus

Ranking

アクセスランキング