日本に孝子や忠臣は現れるのか
菅総理の不出馬により、一気に自民党内の流動化が始まった。だが今、日本は、国内においては、皇統の維持、現行憲法の改正、エネルギー政策、人口政策等、対外的には、急激に不安定化している安全保障環境への対処、例えば、対中抑止、その抑止が破れたときの対処など、国の根幹を左右する極めて重要な課題を抱えている。
米国は、対中抑止に集中するという理由を設けてアフガンから撤退したが、もし、タリバンが習近平政権と連携するようなことにでもなったら、これまで以上に対中抑止と対テロ抑止の二正面作戦を強いられることになる。
日本の対中抑止は日米同盟に依拠しているが、米軍のアフガン撤退、その際の情勢判断の誤りなどを見れば、日本が日米同盟に過度に依拠することなく、自分の国は自分で守る覚悟を持ち、粛々とそのための備えをしなければならないことは、より明白になった。これからの日本には、ややもすれば優柔不断でヒトラーとの宥和政策をとったチェンバレンではなく、イギリスとイギリス国民の力を信じ強い意思でヒトラーとの対決を国民に説いたチャーチルが必要だ。
「家貧しくして孝子顕(あらわ)れ、世乱れて忠臣を識(し)る」と言うが、果たして、日本に孝子や忠臣は現れるのか。
戦後日本の教育には、チャーチルのような人物を生み育てるだけの力があったのか。これからの自民党総裁選、それに続く衆議院総選挙がその答えを出すだろう。
【疾風勁草】刑事司法の第一人者として知られる元東京地検特捜部検事で弁護士の高井康行さんが世相を斬るコラムです。「疾風勁草」には、疾風のような厳しい苦難にあって初めて、丈夫な草が見分けられるという意味があります。アーカイブはこちらをご覧ください。