これらの交流空間・事業成長拠点に入居するスタートアップに対し、同社ではネットワーキングパーティや大企業とのマッチング、入居企業同士の懇親会、各種セミナーなど、数々のイベントを開催している。またプロフェッショナルによるアドバイスやメンタリングの機会を提供し、事業拡大フェーズにおいてスタートアップが抱えがちな問題の解決手段を助言するなど、ビジネス開発を支援する。
技術を開発するスタートアップにとって、ハードルとなるのが、資金や人材のほかに、開発した商品やサービスを試す実践の機会がなかなかないことだ。そこで同社では保有する大丸有エリアに保有する建物を含めエリアを活用した実証実験の機会を提供するほか、開発された新技術やサービスを同社グループにおいて積極的に採用。実際に大丸有でパーソナルモビリティの自動運転システムや無人販売ショーケースの実証実験が行われたほか、生体認証システムの同社オフィスへの採用などが実現した。そのほか、同社自らが展覧会等に出展し、入居するスタートアップの広報活動を実施したことも。こうしたスタートアップを成長軌道にのせるための全方位的な支援が、スタートアップ同士の口コミなどで広がり、スタートアップ拠点へ入居希望者が押し寄せ、拠点開設後すぐに増床するケースもあった。
ウィズコロナで考えるリアルの価値
交流空間・事業成長拠点は、さまざまなスタートアップの成長を支援してきた一方、足元では新型コロナウイルスの感染防止のため、交流機会などは停止せざるを得ない状況にある。今後、新型コロナウイルスを経験した社会は、こうした交流空間・事業成長拠点をどう捉えることになるのだろうか。
三菱地所でスタートアップ拠点の運営に関わる同社xTECH運営部ユニットリーダ-の堺美夫氏は、アフター/ウィズコロナと交流拠点の重要性についてこう強調する。
「2007年のEGG JAPAN設立よりスタートアップの誘致を行ってきており、その後、リーマンショック、東日本大震災などがあったものの、継続的にスタートアップの誘致・支援を積極的に行ってきた。今回のコロナショックがあるなかでも、スタートアップが今後の日本の成長を担う有力なプレイヤーという認識は変わらない。スタートアップが集積するまちは、大企業にとっても魅力あるまちとなる。丸の内には4800社の大企業がおり、スタートアップ企業も大手町ビルを中心に集積が進んでいる。withコロナにおいても、交流・対面によるインタラクションは改めてクローズアップされることとなるだろう。大企業とスタートアップの協業が起こり、イノベーションが起こる。その流れを当社は引き続き支援していきたい」。
【大丸有スタートアップ・レポート】では、「大丸有エリア」と呼ばれる日本随一のビジネス街、大手町、丸の内、有楽町に集う期待のスタートアップ企業を紹介します。新時代の日本を切り開くイノベーションの担い手となるか。要注目です。