睡眠センサーを組み込んだマットレス
最後に日本で具現化したオープンイノベーションの事例を紹介します。今回のテーマで登壇したニューロスペースはKDDIや、イスラエルのIoTヘルスケア機器ベンチャーであるEarly Senseなどと組んで、睡眠センサーが組み込まれたマットレスの開発に携わっています。
このように国内外には数多くのスリープテックベンチャーが存在しており、その中から今回はニューロスペースを含め5社が登壇。京大発ベンチャーであるマリ(京都市下京区)は睡眠時無呼吸症候群をやさしく解決したいという理念を掲げ、低呼吸状態を検知すると低周波音による刺激を与え、その状態を脱するソリューションを提供しています。空気を送り続けて軌道を確保するCPAP療法に比べ負担を大きく軽減できます。協業を通じて見守り機能が付いた家具や住宅の開発を進める予定です。
居眠り運転を予防
交通事故の2割が居眠り運転に起因している点を踏まえ、居眠り検知デバイスを開発したのがO:(オー、東京都目黒区)です。体内時計と睡眠データを掛け合わせることにより、眠気が訪れると思われるタイミングを判断し、予防に繋げられる仕組みです。管理者に従業員のリスクを常時提供することで、事故防止が可能となります。
ナステント(東京都千代田区)が睡眠時の無呼吸症候群対策のため開発したのは、シリコンチューブ形状で重さが約7グラムと軽量の医療機器です。患者が寝る前に鼻に挿入し、使用後は処分する使い捨てタイプのため衛生面でも安心です。薬事承認を進めながらハードルの低いいびき市場への参入も始めています。世界最大の市場規模を誇る米国への進出も想定しています。
ニューロスペース(東京都墨田区)の法人向け睡眠習慣デザインプログラム「Lee BIZ」はデータ解析を踏まえ、睡眠改善アドバイスを個人ごとにスマートフォンアプリで知らせる仕組みです。3カ月で従業員の睡眠習慣を改善するという仕組みです。睡眠に満足しているとの回答割合が12%から73%に増加したとの導入結果も出ています。
睡眠脳波でうつ病診断
問診しか存在しなかったうつ病の分野で、睡眠脳波を利用した診断システムを開発し特許を取得しているのがスリープウェル(大阪市北区)です。企業の健康診断などで不調を訴えた従業員に機器を貸し出し、自宅で脳波を2日間にわたって計測。データを受託解析し検査報告書を産業医に返却する仕組みで、うつ病の早期発見や早期治療を可能とします。機器は小型で手軽に行えるのが特徴です。
COVID-19の影響でテレワークを導入する企業が急増するなど、働き方は大きく変わりつつあります。こうしたニューノーマルでの働き方によって体内時計が乱れるなど睡眠不足をめぐる問題がさらに深刻化する可能性もあるだけに、スリープテック系ベンチャーの活躍に期待が高まります。
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