坂本氏は「かつては東大で最も優秀な人材は官僚や行員になるのが主流でしたが、徐々に陰りが出てきた」、水本氏は「官僚よりベンチャー人気が高まった背景には、経済的に成功する若い起業家が増えたのも大きい」との見解を表明。2014年に大学を卒業したばかりの平井氏はここ数年でも変化はあると言い、自身が学生の頃はそれでもまだ大企業を目指すのが主流だったが、同世代の人々が社会人経験を経た上でスタートアップの世界へやってくるパターンも増えていると明らかにしました。また、菅原氏からも「10年前に比べて経済学部などの学生も増えているが、最後まで課題もやりきり、キャリアの選択肢の1つとしてスタートアップが認識されている印象」と話しました。
「東大の先生への要望は?」という質問には、菅原氏が「若い先生の間では、他の先生のスタートアップへの協力的な姿を見て自分も考える方が増えています。ただ、研究費自体が細ってしまうと、チャレンジングなことを続けづらくなるので、先生への要望というより、組織として予算をしっかり確保していくことが必要と考えられます」と答えました。
このほか、テック系スタートアップを増やしていくことの困難さや、研究者と経営者双方を揃える必要性、事業と同時に研究を続けることの重要性、東大発スタートアップの増やし方、大企業とスタートアップの共創による大きな成功モデルなども話題にのぼり、各者各様の意見が飛び交いました。東大発ベンチャーの多様な可能性には今後ますます、期待が高まりそうです。
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