「それぞれの個性が響き合ってユーザーの課題が解決できるサービスづくりに向き合いたい。関係者同士のエゴがぶつかりあうなど、調和できないならやらない方が良いと思います。これから出来るだけヒトに寄り添ったサービスをつくり続けることにチャレンジしていきたいです」
丹野さんは今後どうキャリアを描いていくのでしょうか。
「自分がどうなるかは考えていません。世の中は不確実ですから自分のキャリアを考えても仕方がないと思っています。変化としておおづかみにわかっていることはこれから先AI時代になるということ。そうなると人しか出来ない仕事の価値が高まるでしょう」
「例えばAIは効率的な管理はできたとしても、プロジェクトがカオスな状態の時に頭を下げるというコミュニケーションをテコにした解決策はやりようがないでしょう。AI時代というテーマは大げさかもしれませんが、小さいところではすでに変化は始まっています。テクノロジーの進化によって開発言語や開発手法、デバイスは常に変化をしつつづけているのです。しかし仕事とは人と人とのやりとりというのは変わることはありません。仕事にはコミュニケーションというカオスが必ずあります。私はヒトとともに生き、カオスがある限り自分の使命を全うしていきたいと思います」
なるほど。SNS社会になったり、テクノロジーが進化してもそれらは道具にしかすぎないしそれらは変えればよい。人間たらしめる、変化しない仕事は何かというと、例えば丹野さんの語る“カオスを調和する”ということは筆頭です。
そしてその力は、組織で働く人間こそ磨かれます。私はスタートアップと組織の両方を経験したからそのことを腹で理解できます。
いま、通信会社は事業モデルにパラダイムシフトが求められています。そのような環境の中でのグループ会社の役員人事では、親会社からの出向者だけではなく、カオスを調和する能力が磨かれたプロパー社員を選任するのは必然だったのではないでしょうか。実際のところはわからないが私にはそう映りました。そしてこれからの日本の先例のように感じました。
丹野さん、ありがとうございました。
【ビジネスパーソン大航海時代】は小原聖誉さんが多様な働き方が選択できる「大航海時代」に生きるビジネスパーソンを応援する連載コラムです。次回更新は5月22日の予定。
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