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人手不足と終身雇用制度の終焉 求められる「日本株式会社」での人材育成

 人手不足を背景に人材の流動性が高まり、日本型の終身雇用制度が崩れ始めている。平成初期のバブル経済崩壊後の相次ぐ大規模リストラや給与水準の抑制で、大企業に入り、定年後再雇用まで勤め上げる「寄らば大樹の陰」的な発想は薄れた。ここ数年は優秀な大学生の起業や外資系志向が高まり、ミドル層の転職や健康寿命が延びたシニアの起用につながっている。

 米国のGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コムの頭文字)が世界経済を席巻し、デジタル革新で後れをとる日本企業が、国際競争力を回復するためにIT技術者などを確保する動きも、通年採用や中途採用を強めている。

 今年1月、トヨタ自動車の豊田章男社長は本社での年頭あいさつで、同社の人事制度改革に触れ、「みんなプロになろうよということ」「みなさんは、自分のために、自分を磨き続けてください」「トヨタの看板がなくても、外で勝負できるプロを目指してください」と呼びかけた。

 大学生の口コミが多く集まり、就活サイトの「食べログ」と呼ばれる「ONE CAREER」を運営するワンキャリアの北野唯我執行役員は「日本を代表するトヨタ自動車のトップが、転職を前提にした思考法を示したことはインパクトがある」と話す。

 ワンキャリアの東大、京大卒業予定者の就職人気ランキングでは、外資系のコンサルティング会社や投資銀行が上位を占める。北野氏自身、大手広告代理店の経営企画から外資系コンサルを経て独立という、若い世代の憧れのようなキャリアを歩んだが、その目にも、トヨタの変革は、今後の日本の雇用改革を牽(けん)引(いん)する象徴事例と映る。

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