社会・その他
共に暮らす 外国人「1千万人」青写真は 宗教や価値観、厳然と残る「壁」
ある市関係者は、政府が外国人の受け入れを「移民政策」とは位置付けていないことを引き合いにし、こう話した。「根本的な対策が取れないまま、ゆがみができあがった。政府の建前が、彼らの立場をあいまいなものにしたんだ」
日本に住む外国人は平成から令和で3倍近くになった。平成元年に98万人だった在日外国人数は、30年末の段階で273万人に。多くが「日本で働く」ためにやってきた人々だ。
昨年12月には、一定の技能を持つ外国人を対象とした新就労資格「特定技能1、2号」を創設する改正入管法が成立。今年4月に施行され、日本は単純労働分野での外国人受け入れを明確に示した。
外国人労働者が増える構図は、平成も令和の時代も変わらない。企業側は「安価な労働力」として期待し、外国人の側にも、自国では得られない高い水準の給与を得るというメリットがある。東南アジアを中心に外国人の日本への関心は令和に入ってさらに高まっており、日本語能力試験の受験応募者は過去最多を更新した。
少子高齢化に伴う労働人口の減少は深刻であり、今後もその流れは加速するはずだ。信用調査会社「帝国データバンク」が4月に行った調査では、「正社員が足りない」と回答した企業は50・3%。4月としては平成18年5月以降、最高だった。
政府は、今後5年間で約34万5千人(年間平均約7万人)の外国人労働者の受け入れを見込む。気がつけば隣人は外国人-。保見団地の光景は、やがて珍しくなくなる。