社会・その他
共に暮らす 外国人「1千万人」青写真は 宗教や価値観、厳然と残る「壁」
目を見張るような“データ”がある。40年後、日本国内の10人に1人が、外国人になるかもしれないというのだ。
総務省によると、日本の外国人人口は平成30年は前年比で6・6%(約17万人)増加。みずほ総合研究所の岡田豊主任研究員は、「新制度で1年間に7万人ほどが来日した場合、(前年比の増加数の)17万人と合わせ、単純計算で毎年25万人程度の外国人が増える可能性がある」と話す。毎年25万人の増加が仮に40年間続けば1千万人。日本の人口が細る中、相対的に数は増していくことになる。
こうした事態を想定し、政治は具体的な議論を喚起すべきだが、参院選に向けても低調なままだ。
多文化共生に詳しい名城大の近藤敦教授(憲法学)は、「今後、外国人住民への施策は全国各地で重要性を増してくる。ただの出稼ぎではなく、日本で暮らしたいと思う人々といかに共生するのか。国は理念を基本法としてまとめ、方向性を打ち出す必要がある」と指摘する。
欧米各国を覆う移民問題は、決して対岸の火事ではない。宗教や価値観の違う人々との共生が、いかに難しいかを如実に物語っている。これからの「国のありよう」をどうするのか、有権者の側も真剣に答えを探さなくてはならない。(橋本昌宗)