ちょっと意地悪い策略ではありますが、部下のプロジェクトワークがある程度以上進んだところで、上司のあなたは「このまま予定通りのプランで進めていくのはどうかなと思うんだ。これはやめて別のやり方をするか?」。実はそのまま完成させることでOKなのですが、部下には逆のことを敢えて言って、業務を止める<妨害>に入ってみせます。
すると部下は内心、「えー、せっかくここまでやって、終わりも見えてきているのに!」。もしかしたら惰性に入っていた業務に、メラメラと火がつきます。
これは、せっかく途中まで作ったものは捨てたくない「サンクコスト効果」の現れです、しめしめ(笑)。部下にその気持ちを読み取ったら、のらりくらりと会話しながら、「そうか、分かった。キミがそこまで言うなら、このまま続けて完成させてくれ。その代わり、最高のものに仕上げてくれよ」とポンと肩を叩いて颯爽と部下のデスクから去りましょう。
更に性格悪いアプローチです。同じく、彼(彼女)が最終仕上げにかかって、いよいよ来週、事業本部の会議でプレゼンを行うというときに、「ここまでお疲れさん!最終プレゼンは先輩のAに任せるか?」。最後の最後で手柄を別のメンバーに渡すよう、取り上げてしまう(ふりをする)。
「それはないですよ!」と、はっきり言う部下もいるでしょうが、言えない部下もいらっしゃるでしょう。どちらであっても、ここまで頑張ってきた部下であれば、内心のスイッチがカチッと入ったはずです。ここまでやってきたのだから、自分がプレゼンしたい!
ここでは「現状維持バイアス」「保有効果」のスイッチが入っています。このまま自分で、という意識をグッと強め、自分で最後までやり遂げたい気持ちを高めることで、来週の事業本部会でのプレゼンに気持ちを入れてもらいましょう。上司のあなたの目的は、要するに部下に最高の状態でプロジェクトを完遂し納品してもらうことなのですから、そのためであれば、部下への多少の心理学的意地悪も許されることと思います。
人間心理の逆をついて、部下のやる気にスイッチを入れる方法をご紹介しました。
しかしこれらの心理学的アプローチは、大前提として、そもそも本人が担当業務をちゃんとやれる能力と業務を真面目にやる姿勢という土台がなければ、これらの仕掛けは全く効き目がありません。念のためご注意、ご確認ください!
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【社長を目指す方程式】は井上和幸さんがトップへとキャリアアップしていくために必要な仕事術を伝授する連載コラムです。更新は原則隔週月曜日。アーカイブはこちら