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人口減は「希望」脱成長社会への転換 京都大学教授に聞く

 --激変の時代に考え方を変えて乗り切ったともいえるが、現実にはいろんな問題が出てきそうです

 「じつは日立京大ラボという研究チームとの共同研究で『2050年、日本は持続可能か』というテーマを設定し、人工知能(AI)を使ったシミュレーションをしました。その結果、都市集中か地方分散かが、今後の日本社会の行方を決める重要な分岐点になると出たのです。しかも、地方分散を選んだ方が日本社会の持続可能性は高いという結論になった。たとえば出生率は東京が最低で、地方が高い。東京一極集中が進むほど人口減少が加速していくということです」

 「人口がずっと減少し続けるのはよくない。日本の合計特殊出生率(女性1人が生涯に産む子供の推定数)は昨年は1.42でしたが、2に向けて回復させる必要があります。今世紀末に8000万人ぐらいで下げ止まれば、安定した社会になると思います。実は国連の推計で2100年の世界人口は109億となり、以後はほぼ横ばいと予想されている。20世紀は人口爆発の時代でしたが21世紀の増加は緩やかで、グローバルな定常型社会に向かっているといえるのです」

 --今世紀末はまだ先で喫緊の課題は多い。外国人労働者や社会保障はどうあるべきでしょう

 「移民など人々が国境を越えて移動するのがよいという考え方は近代特有のものですが、人口減を補うために外国人を入れるのは問題が大きい。どうしても住み分けになって社会の分断が生じるのは避けられず、多くの国で問題が起きている。人口減少期には人々は、それぞれの土地で生きていく傾向が強くなっていくでしょう」

 「社会保障は、高齢期偏重を是正しもっと人生の前半に振り向けるべきです。出生率低下の背景には若い世代の生活不安があるからです。不人気な意見でしょうが、欧州並みの高い税率は不可欠。現在のように、1000兆円を超える借金を将来世代にツケ回しするという方向はすぐにでもやめるべきではないでしょうか。また、社会保障費は一般歳出の半分以上を占め、家族を超えた相互扶助という側面が非常に強い。税金はお上に取られるものだという古い考えを捨てる、意識改革が必要なのです」

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