日本の議論
「先進国並みに」「実態に注目を」 最低賃金、引き上げどうする
経済アナリスト・中原圭介氏「数字より実態に注目を」
--最低賃金の引き上げについてどう考えているか
「引き上げ自体に反対ではないが、程度の問題。年3%程度は妥当な範囲だと思うが、一部で主張された『10年連続5%アップ』などは荒唐無稽だ。日本経済の実力を超えて引き上げてしまうと副作用の方が大きい」
--日本の最低賃金は先進諸国の中でも低く、生産性も低いという指摘がある
「それぞれの国に特有の価値観や税制、生活様式、社会保障があり、1つの指標だけで日本は悪いとはいえない。日本の生産性が低く出る主要因は、中小企業、とりわけサービス業の従事者が多く、小売店の数が多いことにある。極端な話、中小企業を減らし、コンビニや飲食店の数を半分にすれば数字上の生産性は上がるが、それが正しいことかよく考えなければならない。真に注目すべきは数字ではなく実態。国民が今の生活水準や社会環境をどう思うかだ」
--イギリスは最低賃金引き上げの好例として挙げられる
「最低賃金、生産性ともに見かけ上の数字は改善されたが、地方の企業はその最低賃金では人が雇えなくなり、ロンドンに賃金の高い企業が集中した。その結果、都市と地方の格差が広がり、地方の労働者階級の不満が爆発、ブレグジット(英国の欧州連合離脱)の引き金になっている。イギリス、フランスなどは数字上は最低賃金も生産性も日本より高いが、日本より格差が開き、物価高で生活苦に悩む人が増えているのが現実だ」