「先進国並みに」「実態に注目を」 最低賃金、引き上げどうする
--最低賃金を上げれば、生産性も上がるという意見もある
「『必要に迫られるので工夫する』は実情に即していない精神論。そもそも多くの企業がやれることは既にやっている。生産性が高く、もうかっている大企業は5%でも賃金を上げればよいが、余力がない企業は、社員、パートの人数や労働時間を減らすしかない。東京の大企業は利益を第一に求める一方、地方の企業経営者の多くは生産性を上げるより今の雇用を守る方が大切だと考えている。都市と地方の違いを認識すべきだ」
--今、政府がすべきことは
「最低賃金を上げることで生産性の低い企業は淘汰されていくが、そこに勤める人の多くはスキル(技能)に乏しく、簡単には再就職できない。結局、仕事を失うのは低スキルの人たち。そうした人たちを再教育し、社会に戻すシステムを早急に整備しなければならない。また、何より大切なのは学校教育。未来の国力のためには教育の底上げが必要だ。政府は目先の数字にとらわれず、長期の視点を持って実態に即した政策を実施してほしい」
(加藤聖子)
◇
なかはら・けいすけ 昭和45年、茨城県生まれ。「アセットベストパートナーズ」の経営アドバイザー兼経済アナリスト。大手企業や金融機関などへの助言・提案を行っている。著書に『AI×人口減少』など。
◇
記者の目「長期的かつ多様な視点で」
学生の頃、さまざまなアルバイトを経験した。正直、今よりキツい仕事も多かった。最低賃金で働く人の多くがアルバイトやパート、派遣社員などの立場だ。責任の違いはあるが、賃金の割に精神的、肉体的に厳しい仕事が多い。
一方、数年前にイベント運営を担当した際は、アルバイトを雇う金額の高さに驚いた。時給1千円でも人が集まらないという。たかが時給数十円の上昇でも、アルバイトやパートの割合が多い所では、月に万単位で支出が増える。安くて良い物、良いサービスをと身を削り、ジャパンクオリティーに貢献してきた経営者の悲鳴もよくわかる。
今後賃金を上昇させていくと、良い影響も、悪い影響も出てくる。国や地域ごとだけでなく、産業別でもさまざまな影響の違いがあるとも聞く。そのバランスを見極めるためにも、長期的かつ多様な視点から議論することが必要だ。(加藤聖子)